事業再構築補助金は中小企業や中堅企業に向けた補助金なので、大企業は申請することができません。しかし、場合によっては資本金の規模は中堅企業や中小企業並みであるのにも関わらず、事業再構築補助金では大企業とみなされてしまう「みなし大企業」という枠組みが存在します。
事業計画など全て書いた段階で発覚し、申請できない事態に陥ると大変勿体無いことになります。本記事では事業再構築補助金におけるみなし大企業について詳しく解説します。ぜひ、自社が当てはまるかどうか確認してみてください。
まずは、事業再構築補助金そのものについて説明します。
事業再構築補助金とは、中小企業や中堅企業を対象に、コロナ禍等で落ち込んだ経営を立て直すために新たな事業を始めるために必要な経費を援助してくれる制度です。個人事業主も対象です。
直近で募集されていた第12回公募では最大5億円の補助上限金額が設定されていて、申請枠や会社規模にもよりますがかなり大きな金額を受け取ることができる補助金です。
※現在すでに第12回公募の事業再構築補助金は募集終了しています。
申請時には新規事業の詳細を記した事業計画書を提出し、事務局の審査を受けます。事務局から採択された事業者のみが補助金を受け取ることができます。
補助金を受け取ることができるのは、補助事業が全て終わって実績報告が済んだ後です。そのため、補助金を受け取るまでの融資などを利用する事業者もいます。
では、事業再構築補助金におけるみなし大企業とはどんなものでしょうか。以下で詳しく解説します。
先述したように、事業再構築補助金は中小企業や中堅企業を支援する目的の補助金であるため、大企業は申請することができません。
しかし、大企業は中小企業や中堅企業規模の子会社や関連会社を保有している場合があります。これらの企業が申請し、採択されてしまうと、間接的に大企業を支援していることになり、困っている中小企業や中堅企業の採択数が減ってしまいます。
そのような事態を防ぐため、大企業の子会社や関連会社はみなし大企業と定義され、対象から除外されています。
中小企業の定義は業種ごとに以下の表のように定められています。
業種 | 資本金の額又は出資の総額 | 常時使用する従業員の数 |
製造業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業(ソフトウェア業又は情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
参照:中小企業・小規模企業者の定義
中小企業の中には個人事業主も含まれます。
また、中堅企業は常に雇用している従業員数が2,000人以下の企業と定義されています。
さらに、事業再構築補助金では基本的に対象になる企業は資本金が10億円以下の企業とされています。
上記を参考に、自社は中小企業や中堅企業に当てはまるのか確認してみてください。
みなし大企業の定義はいくつかあります。事業再構築補助金の公募要領では以下のように記載されています。
(1)発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者等
(2)発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者等
(3)大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者等
(4)発行済株式の総数又は出資価格の総額を(1)~(3)に該当する中小企業者が所有している中小企業者等
(5)(1)~(3)に該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業者等
(6)応募申請時点において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者等
※1 大企業とは、中小企業基本法に規定する中小企業者以外の者であり、資本金及び従業員数がともにアの表の数字を超え、ウにも該当しない者です。海外企業についても、資本金及び従業員数がともにアの表の数字を超え、ウにも該当しない場合、大企業に該当します。また、自治体等の公的機関に関しても、中小企業基本法の範囲外であり、大企業に該当します。ただし、以下が株式を保有する場合は、その保有比率等をもって上記のみなし大企業の規定を適用しません。
・中小企業投資育成株式会社法に規定する中小企業投資育成株式会社
・投資事業有限責任組合契約に関する法律に規定する投資事業有限責任組合
※2 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上をみなし大企業が所有している中小企業者もみなし大企業として取り扱います。
※3 本条件の適用は、補助事業実施期間中にも及びます。
※4 上記(3)の役員には、会社法第 2 条第 15 号に規定する社外取締役及び会社法第 381 条第 1 項に規定する監査役は含まれません。
※5 JV(協同企業体)構成員の申請においては、JV(協同企業体)の出資総額の過半数が大企業又はみなし大企業である場合は本規定を準用し補助対象外といたします。
事業再構築補助金 公募要領
ここでのポイントは、株主だけでなく役員が大企業の役員、職員などを兼ねている場合もみなし大企業とされてしまうということです。
また、資本金や大企業の役員などの要件を満たしていない場合でも、課税所得が直近過去3年分の平均が15億円を超える場合は無条件でみなし大企業と定義されてしまいます。かなり用件が厳しいため、少しでも当てはまる可能性がある場合はしっかり事前に確認しておきましょう。
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最初に述べましたが、みなし大企業の条件に当てはまってしまうと、そもそも事業再構築補助金に申請することができません。
また、中小、中堅企業として採択されても、補助事業実施中にみなし大企業の定義に当てはまってしまうことも避けましょう。場合によっては補助金の受け取りができなくなることも考えられます。採択後の資本政策や人事にも注意が必要です。
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実際にどのような企業がみなし大企業と定義されてしまうのでしょうか。以下で具体例をいくつか挙げて解説します。
以下は、みなし大企業とされてしまう例です。
資本金、従業員数は中小、中堅企業としての要件を満たしていても、全役員が属している会社や株主が大企業の場合は、みなし大企業と定義されてしまうので注意しましょう。
以下は、みなし大企業とされない例です。
上記のように、一定の割合以下の役員が大企業に属している場合や、一部の株主が大企業の場合はみなし大企業に該当しません。
みなし大企業の他に、みなし中堅企業という定義もあります。どんなものなのか、以下で確認してみましょう。
みなし大企業だけではなく、みなし中堅企業という定義も存在します。みなし中堅企業は、上記で引用した事業再構築補助金公募要領にあるみなし大企業の「大企業」の部分が「中堅企業」だった場合には中堅企業とみなす、というものです。
みなし中堅企業は、みなし大企業とは異なり事業再構築補助金を受け取ることができます!
しかし、補助率が減少するなどの一定の制約があるため、事業計画の立案や申請金額には注意が必要です。全ての枠において、中堅企業等だと基本的に中小企業よりも補助率が下がってしまうので、事前によく確認しましょう。
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みなし法人とは、サークルや地域団体のように登記をされていない任意団体のことです。
今回の事業再構築補助金ではみなし法人は申請ができません。NPOやNGO、財団などが非営利向けの団体に支給する形の補助金や助成金ではみなし法人も法人格として申請対象になるケースもあります。
みなし法人は、本事業の対象か。
本事業の補助対象者は、日本国内に本社を有する中小企業者等及び中堅企業等となります。詳細は公募要領を参照してください。
事業再構築補助金 よくあるご質問
株式会社補助金プラスは、事業再構築補助金の申請支援サービスを提供しています。事業計画書の作成や書類収集のサポートはもちろん、自社がみなし大企業に当てはまるかどうか等のご相談も受け付けています。新規事業に関するアドバイスも可能です。
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この記事では事業再構築補助金におけるみなし大企業について説明しました。
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