新型コロナウィルス感染拡大の影響により多くの中小企業が経営困難に陥りました。そのような状況を打開するために、2021年に経済政策としてスタートしたのが事業再構築補助金です。
中小企業の救済策として注目を集めている事業再構築補助金ですが、具体的な内容についてわからない人も多いでしょう。そこで、この記事では事業再構築補助金はいくらもらえるのか、具体的な補助金額について紹介します。
具体的な計算方法についても解説します。これから事業再構築補助金の申請を検討している方や、実際に申請した場合にいくらもらえるのか気になる方はぜひ参考にしてください。
いくらもらえるかについて解説する前に、事業再構築補助金の概要について解説します。
事業再構築補助金とは、主にコロナ禍で経営が落ち込んだ事業者を支援する目的で、新たな事業を始める事業者に対して支援してくれる補助金制度です。新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編などの事業再構築を行う中小企業等をサポートしてくれる補助金です。
補助金を活用するには事務局の審査に通過する必要があり、単に申請しただけでは補助金を受け取ることはできません。直近の採択率は50%以下になっており、採択されるのは簡単なことではありません。どのような事業を行いたいのか、しっかり筋道立てて記載されている事業計画書の準備等が必要です。
事業再構築補助金は、コロナ禍での影響を受けて落ち込んでいる事業者を応援する補助事業です。補助対象者については、基本的に資本金10億円未満の中小企業、中堅企業(個人事業主も含む)とされています。原則、事業再構築補助金の対象要件では資本金10億円以上の企業が大企業に該当します。そのため、大企業は事業再構築補助金を活用することはできません。
なお、以下の項目のいずれかに該当する場合は大企業であるとみなされてしまうので、事業再構築補助金の対象者にならない場合があります。
上記の項目で「大企業」となっている部分が「中堅企業」である場合、補助金申請する事業者は中堅企業扱いとなります。中堅企業も補助金の対象になりますが、中小企業と中堅企業では補助金額や補助率が異なります。自社は中小企業と中堅企業のどちらに該当するのか、事前に確認しておくといいかもしれません。
第12回公募対応「採択率を上げるポイントがわかる事業再構築補助金事業計画書作成マニュアル」
また、上記の会社規模に関する条件の他に、事業再構築補助金に申請する必須要件があります。必須要件を満たしていないと補助金を活用することができません。
まず、どの申請枠に応募する場合でも満たしていなければいけない全枠共通必須要件があります。直近で募集された第12回公募で設定されているのは以下の3つです。
A:事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
B:事業計画を金融機関等や認定経営革新等支援機関と策定し、確認を受けていること
C:付加価値額を向上させること
引用:事業再構築補助金 必須申請要件
付加価値額の向上について、具体的には補助金を活用した事業が完了した後、3~5年で付加価値額の年平均成長率が3.0~5.0%以上増加、もしくは従業員一人当たりの付加価値額年平均成長率を3.0~5.0%以上増加させることが条件です。まずは自社が上記の条件を満たせるかどうかを確認しましょう。
そのほか、各申請枠ごとに必須要件が設けられています。どの枠で申請するかを決定する時にしっかり確認しておきましょう。
それでは、事業再構築補助金の被助率はどのくらいなのでしょうか?補助率を決める要因とともに確認していきましょう。
事業再構築補助金の補助率は以下の項目によって決まります。
現在、第12回公募で募集されている枠や類型の種類は以下の通りです。
成長分野進出枠(通常類型)
今後の成長が見込まれる分野でポストコロナに対応した事業を始める事業者を支援する枠
成長分野進出枠(GX進出類型)
ポストコロナに対応した事業で、かつグリーン成長戦略「実行計画」14分野課題の解決を行う事業者を支援する枠
コロナ回復加速化枠(通常類型)
コロナの影響により債務の借り換えを行う事業者や事業再生に取り組む事業者を支援する枠
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
コロナ禍終息後の最低賃金引き上げの影響を受ける事業者を支援する枠
サプライチェーン強靱化枠
国内サプライチェーンの強靱化に努める事業者を支援する枠
事業再構築補助金の補助率は、上記の申請枠のうちどの枠に応募するかによっても変わります。
事業再構築補助金の具体的な補助率は、各申請枠別に以下の通りです。
申請枠 | 補助率 |
成長分野進出枠(通常類型) | 中小企業:1/2 (2/3) 中堅企業:1/3 (1/2)
※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合 |
成長分野進出枠(GX進出類型) | 中小企業:1/2 (2/3) 中堅企業:1/3 (1/2)
※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合 |
コロナ回復加速化枠(通常類型) | 中小企業:2/3 ※従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは 3/4
中堅企業:1/2 ※従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは 2/3 |
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) | 中小企業:3/4(一部 2/3) 中堅企業:2/3(一部 1/2)
※()内は要件①(コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていること)を満たさない場合 |
サプライチェーン強靱化枠 | 中小企業:1/2 中堅企業:1/3 |
参照:事業再構築補助金 必須申請要件
実際に事業再構築補助金ではいくらもらえるのかをシュミレーションする際、補助率は非常に重要です。まずは自社の規模を確認し、どれくらいの補助率になりそうか考えておきましょう。
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次に、補助上限金額について解説します。事業再構築補助金でいくらもらえるかを考える際、補助上限金額を知っておくと目安になるので非常に重要です。
事業再構築補助金においてもらえる金額も従業員数や申請する枠で決まります。補助率を考える際と同じく、まずは自社の規模等を確認しておくと良いでしょう。
事業再構築補助金では最大いくらもらえるかを示したのが以下の表です。
申請枠 | 補助率 |
成長分野進出枠(通常類型) | 20人以下:1,500万円(2,000万円) 21~50人:3,000万円(4,000万円) 51~100人:4,000万円(5,000万円) 101人以上:6,000万円(7,000万円)
※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合。 廃業を伴う場合には、廃業費を最大2,000万円上乗せ。 |
成長分野進出枠(GX進出類型) | 20人以下:3,000万円(4,000万円) 21~50人:5,000万円(6,000万円) 51人~100人:7,000万円(8,000万円) 101人以上:8,000万円(1億円) |
コロナ回復加速化枠(通常類型) | 5人以下:1,000万円 6~20人:1,500万円 21人~50人:2,000万円 51人以上:3,000万円 |
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) | 5人以下:500万円 6~20人:1,000万円 21人以上:1,500万円 |
サプライチェーン強靱化枠 | 5億円 ※建物費がない場合は3億円 |
参照:事業再構築補助金 必須申請要件
事業再構築補助金で受け取ることができる上限金額は上記の通りです。あくまで上限金額なので、満額を受け取れるわけではないことに注意しましょう。
事業再構築補助金の補助上限金額はかなり高額であり、大きなお金を受け取ることができる補助金です。そのため、採択されるのも難しく、審査も厳しくなっているのです。
それでは自社は実際に事業再構築補助金でいくらもらえることになるのでしょうか?以下では受け取れる金額の計算方法について解説します。
事業再構築補助金はここまで紹介してきた対象要件をもとに算出した投資金額と補助率をかけて計算することによっていくらもらえるかが決定します。
例えば、以下のような条件だったとしましょう。この場合、事業再構築補助金はいくらもらえるでしょうか。
この場合、中小企業等で成長分野進出枠(通常類型)に申請するため、2分の1の補助率が適用され、実際にもらえる事業再構築補助金は約1,000万円ほどになります。
各応募枠ごとの補助率によって実際に事業再構築補助金がいくらもらえるのかは異なります。詳しくは前述の補助率一覧を確認してください。
事業再構築補助金でいくらうけとれるかを計算する際、投資金額に補助率をかけることによって算出されますが、その際の投資金額は税抜きの投資金額を使う点に注意しましょう。税込み金額での計算ではないのでいくらもらえるかを計算する際には気をつけなくてはなりません。
事業再構築補助金は際限なく支給されるわけではありません。補助金額には限りがありますので、自身の企業がいくらもらえるのか事前にしっかりと確認しておくようにしましょう。
いくらもらえるのかの上限については前述の事業再構築補助金の上限金額一覧を確認してください。
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新型コロナウィルス感染拡大の影響により経営が困難になってしまった事業者も多いでしょう。事業再構築補助金をいくらもらえるかで事業計画も変わってきます。
申請する枠や企業の従業員数によっていくらもらえるのかも変わってくるので、それによって対策も変わります。自社が事業再構築補助金をいくらもらえるか、おおよその金額を把握してそれに合わせた事業計画を立てていくことが大切です。
事業再構築補助金の対象要件をしっかり理解し、無理のない事業計画を立てられるようにしてみてください。