【2025.4】新事業進出補助金は個人事業主も対象?新しい補助金について対象者を解説

【2024.12】新事業進出補助金は個人事業主も対象?新しい補助金について対象者を解説

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※記事は作成時の公募要領をもとに作成しているため最新の情報と異なることがございます

事業再構築補助金の後継補助金として新設され、2025年から新たに募集開始したのが「中小企業新事業進出補助金(以下、新事業進出補助金)」です。

事業再構築補助金は個人事業主も活用することができた補助金でしたが、新事業進出補助金は個人事業主も対象になるのでしょうか?

本記事では、事業再構築補助金の内容をもとに新事業進出補助金の対象者、個人事業主との関係について解説します。

この記事の要点
  • 新事業進出補助金の対象者は中小企業、小規模事業者である
  • 個人事業主も新事業進出補助金の対象になると予想される
  • 新事業進出補助金の申請には事業再構築補助金と同じように事業計画書をはじめとする必要書類の作成が必要だと考えられる

監修者

松山市の税理士 越智聖税理士事務所代表。株式会社聖会計代表取締役社長。税理士。 経済産業省認定経営革新等支援機関
越智聖税理士事務所は平成27年4月に松山で開業した、主に中四国全域の中小企業の皆様をご支援している会計事務所である。会計・税務はもちろんのこと、お客様のお悩み事を解決する総合的なコンサルティング、緻密な経営診断にもとづく経営コンサルティングなどを得意としている。前職において関与先の上場支援、多くの業種の税務経営支援、相続税、事業承継対策に従事し、12年の実務経験を経て独立開業。現在、職員6名の体制でお客様を支援。
事業再構築補助金の書類確認など多岐にわたる業務に対応ができる。圧倒的な実績を持つ認定経営革新等支援機関として多くの事業者を支援。愛媛県内で事業再構築補助金の採択率が税理士、会計士、中小企業診断士などの中で5位になる。四国税理士会松山支部所属。
高齢化社会の要請である介護事業経営支援にも取り組み、新規事業立ち上げから財務体質改善、集客アドバイスなど、さまざまなサービスを提供。また、様々な業種に対応し、建設業、飲食業、不動産業、社会福祉法人、酪農業、さらには漫画家、芸能関係などの珍しい業種にも対応している。仕事のほとんどがお客様や他士業の先生からの紹介となっている。現状では80%が紹介で、それ以外は直接の依頼や、ネットでの集客である。税理士業務以外の仕事(保険、法人設立、建設業許可など)は、提携している専門家の方に積極的に依頼し、お客様へのサポート体制の拡充を図っている。顧問先が黒字になるように、出来上がった試算表を基に徹底的に分析して改善すべき点を指摘。また、多くの業種を取り扱っていて、周りの業界のヒアリング調査も実施。これにより、一般的には7割が赤字企業といわれるなか、当事務所の顧問先の黒字率は6割を超える。
【他媒体での監修事例】
UPSIDERお役立ち記事にて記事監修

この記事の目次

新事業進出補助金とは?個人事業主も活用できる?

まず、新事業進出補助金とはどんなものなのでしょうか。おおまかな概要について説明します。

新事業進出補助金は、新規事業への挑戦を目指す中小企業の設備投資を促進してくれる補助金です。補助金の趣旨、目的は事業再構築補助金とおおよそ同じと言えるでしょう。

新事業進出補助金の対象者

新事業進出補助金の対象者について、日本国内に本社及び補助事業実施場所を有する以下の「(1)中小企業者~(4)対象リース会社」のいずれかの要件を満たすものと公募要領に明記されています。
引用:中小企業新事業進出補助金 公募要領

要件は、具体的に以下の通りです。

要件内容
(1)中小企業者・資本金又は常勤従業員数が下表の数字以下となる会社又は個人であること。
(2)「中小企業者等」に含まれる「中小企業者」以外の法人・以下のいずれかの法人に該当すること。ただし、従業員数が300人以下である者に限る。

① 「中小企業等経営強化法(平成11年法律第18号)」第2条第1項第6号~第8号に定める法人
(企業組合等)
② 「法人税法(昭和40年法律第34号)」別表第2に該当する法人(一般財団法人及び一般社団法
人については、非営利型法人に該当しないものも対象となります。)
③ 「農業協同組合法(昭和22年法律第132号)」に基づき設立された農事組合法人
④ 「労働者協同組合法(令和2年法律第78号)」に基づき設立された労働者協同組合
⑤ 法人税法以外の法律により公益法人等とみなされる法人
(3)特定事業者の一部・以下のいずれかに該当すること。

① 常勤従業員数が下表の数字以下となる会社又は個人(「中小企業等経営強化法(平成11年法律
第18号)」第2条第5項に規定する者を指す。)のうち、資本金の額又は出資の総額が10億円
未満であるもの
② 生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会
・その直接又は間接の構成員の3分の2以上が、常時300人(卸売業を主たる事業とする事業者については、400人)以下の従業員を使用する者であって10億円未満の金額をその資本金の額又は出資の総額とするものであるもの。
③ 酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会、酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会
(酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会の場合)
・その直接又は間接の構成員たる酒類製造業者の3分の2以上が、常時500人以下の従業員を使
用する者であって10億円未満の金額をその資本金の額又は出資の総額とするものであるもの。
(酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会の場合)
・その直接又は間接の構成員たる酒類販売業者の3分の2以上が、常時300人(酒類卸売業者に
ついては、400人)以下の従業員を使用する者であって10億円未満の金額をその資本金の額又は
出資の総額とするものであるもの
④ 内航海運組合、内航海運組合連合会・その直接又は間接の構成員たる内航海運事業を営む者の3分の2以上が常時500人以下の従業員を使用する者であって10億円未満の金額をその資本金の額又は出資の総額とするものであるもの。
⑤ 技術研究組合・直接又は間接の構成員の3分の2以上が以下の事業者のいずれかであるもの。

‣上記①記載の事業者
‣企業組合、協同組合
引用:中小企業新事業進出補助金 公募要領

上記を確認し、しっかり自社が当てはまるかどうか事前に確認しておきましょう。個人事業主については、後ほど詳しく解説します。

新事業進出補助金の補助金額、補助率

新事業進出補助金の補助上限金額や補助率は以下のように設定されています。

従業員数補助上限金額
従業員数20人以下2,500万円(3,000万円)
従業員数21~50人4,000万円(5,000万円)
従業員数51~100人5,500万円(7,000万円)
従業員数101人以上7,000万円(9,000万円)

※補助下限750万円
※大幅賃上げ特例適用事業者(事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+
6%を達成)の場合、補助上限額を上乗せ。(上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。)

引用:中小企業新事業進出補助金 公式サイト

補助上限金額はこれまでの事業再構築補助金の成長分野進出枠(通常類型)よりも従業員数ごとに1,000万円高く設定されています。事業再構築補助金もかなり大きい金額がもらえる補助金として話題でしたが、新事業進出補助金はそれ以上の金額がもらえるかもしれないということで、かなり人気の補助金になるでしょう。

補助下限金額も設定されているので、少なくともこのくらいは受け取れそうだという目安を考えることもできます。

新事業進出補助金は個人事業主も受け取れる?

新事業進出補助金は中小企業や小規模事業者に向けた支援策として記載されていましたが、個人事業主も受け取ることができる補助金なのでしょうか?

以下で解説します。

新事業進出補助金は個人事業主も受け取れる?

新事業進出補助金は個人事業主も補助対象

まず、新事業進出補助金の前にあった事業再構築補助金は個人事業主も受け取ることができる補助金でした。会社にとどまらず様々な形態の法人や個人事業主が対象となっていました。

そして、新事業進出補助金でも個人事業主が対象となっています。事業再構築補助金と同じく、さまざまな業種の個人事業主が本補助金を活用できるでしょう。先ほど紹介した補助対象者要件をよく確認し、自社が当てはまるかどうかを確認しておくのが大切です。

補助事業の基本要件について

個人事業主だからといって、どんな事業でも新事業進出補助金を活用できるわけではありません。

補助対象になる事業は、以下の基本要件を満たしている必要があります。

要件内容
(1)新事業進出要件「新事業進出指針」に示す「新事業進出」の定義に該当する事業であること
※新事業進出の定義は、「新事業進出指針」にて定めていますので必ずご確認ください
(2) 付加価値額要件補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額(又は従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%(以下「付加価値額基準値」という。)以上増加する見込みの事業計画を策定すること
(3) 賃上げ要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、以下のいずれかの水準以上の賃上げを行うこと
①補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間(令和元年度を基準とし、令和2年度~令和6年度の5年間をいう。)の年平均成長率(以下 「一人当たり給与支給総額基準値」という。)以上増加させること
②補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、給与支給総額の年平均成長率を2.5%(以下 「給与支給総額基準値」という。)以上増加させること
(4) 事業場内最賃水準要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業所内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること
(5) ワークライフバランス要件次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること
(6) 金融機関要件補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること
<賃上げ特例の適用を受ける場合の追加要件>
(7) 賃上げ特例要件【要件未達の場合、補助金返還義務あり】
補助事業実施期間内に、以下の要件をいずれも満たすこと
①補助事業実施期間内に、給与支給総額を年平均6.0%以上増加させること
②補助事業実施期間内に、事業場内最低賃金を年額50円以上引き上げること
引用:中小企業新事業進出補助金 公式サイト

上記は個人事業主などに関係なく満たす必要がある要件として設定されています。事前に必ず自社が挑戦したい事業が要件に当てはまるかどうかをしっかり確認しておくのが大切です。

第12回公募対応「採択率を上げるポイントがわかる事業再構築補助金事業計画書作成マニュアル」

個人事業主も必見!新事業進出要件について

先ほど紹介した基本要件の中から新事業進出要件について解説します。

新事業進出要件は、新事業進出指針に基づいて設定されています。

まず、新事業進出の定義は以下の通りに定められています。

新事業進出の定義

中小企業新事業進出促進補助金(以下「本補助金」という。)において、新事業進出とは、事業を行う中小企業等にとって、事業により製造又は提供(以下「製造等」という。)する製品又は商品若しくはサービス(以下「製品等」という。)が、新規性を有するものであり、それらの属する市場が、既存事業の市場とは異なる新たな市場であることをいう。

引用:新事業進出要件

また、新事業進出の該当要件は以下の通りです。

本補助金の対象となる新事業進出とは、次のいずれにも該当する場合をいう。
(1)製品等の新規性要件事業により製造等する製品等が、事業を行う中小企業等にとって、新規性を有するものであること。
(2)市場の新規性要件
事業により製造等する製品等の属する市場が、事業を行う中小企業等にとって、新たな市場であること。新たな市場とは、事業を行う中小企業等にとって、既存事業において対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする市場を指す。
(3)新事業売上高要件
次に掲げる要件のいずれかを満たすこと。
(ⅰ)事業計画期間最終年度において、新たに製造等する製品等の売上高又は付加価値額が、応募申請時の総売上高の十分の一又は総付加価値額の百分の十五以上を占めることが見込まれるものであること。
(ⅱ)応募申請時の直近の事業年度の決算に基づく売上高が10億円以上であり、かつ、同事業年度の決算に基づく売上高のうち、新事業進出を行う事業部門の売上高が3億円以上である場合には、事業計画期間最終年度において、新たに製造等する製品等の売上高又は付加価値額が、応募申請時の当該事業部門の売上高の十分の一又は付加価値額の百分の十五以上を占めることが見込まれるものであること。

引用:新事業進出要件

必ず上記を事前に確認しておくのが大切です。この要件も、個人事業主も企業も関係なく申請時に満たしておく必要があります。また、そもそも既存事業の拡大等には活用できない補助金なので注意しましょう。

新事業進出補助金の活用イメージ

新事業進出補助金の具体的な活用イメージとして、公式には以下のように記載されています。

【活用イメージ】
機械加工業でのノウハウを活かして、新たに半導体製造装置部品の製造に挑戦
医療機器製造の技術を活かして蒸留所を建設し、ウイスキー製造業に進出

引用:中小企業新事業進出補助金

上記のように、新事業進出補助金は既存事業で培ってきた技術やノウハウを活かし、新たな事業に進出する際に活用できる補助金となっています。

個人事業主が補助金を実際に活用した例

では、具体的にこれまで個人事業主はどんな事業を補助金を活用して行ったのでしょうか。

以下では、実際に個人事業主が事業再構築補助金を活用して始めた事業例を紹介します。ぜひ新事業進出補助金に申請する際の参考にしてみてください。

個人事業主が補助金を実際に活用した例

①カフェがシェアキッチンをオープン

北海道の個人事業主のカフェの事例です。カフェを営んでいたこの事業者は、事業再構築補助金を活用して隣のアパートの1室をリノベーションして直売所併設のシェアキッチンとしてオープンしました。既存事業の売上高向上等の相乗効果が見込める事業です。


②老舗料亭が急速冷凍機を導入してお土産用のそばを販売


個人事業主の老舗料亭が事業再構築補助金を利用し、急速冷凍機を導入することによって、急速冷凍したそばをお土産・贈答品として製造販売を行った事例です。

飲食店がコロナ等で店内売り上げが減少したことによって、店内で提供していた商品を幅広く提供できるようにするというのは事業再構築補助金の活用事例でよくある事例です。冷凍食品を製造する事業も多くの事業者が補助金を活用する事例として挙げられています。

飲食店が事業再構築補助金を活用した例とポイントはこちら

③その他の事例

その他、個人事業主が事業再構築補助金を活用した事例として以下のようなものがあります。

事業者名:カヤニファーム
事業計画名:最北養鶏場に石窯による卵と地元産品の加工品製造所オープン!

事業者名:らーめん三日月
事業計画名:「ソフトクリームと人気のチャーシューを使った肉まん」のテイクアウト事業への新分野展開

事業者名:フレスカオイスターバー&キッチン
事業計画名:オイスターバーが全国各地の旬の牡蠣と産地食材を使う和食業態進出

事業者名:松月
事業計画名:町の菓子店が取組む、菓子と日本酒を楽しめるイートインサービス

事業者名:レストランエンヌ
事業計画名:金沢のミシュランフレンチシェフが白山麓で手掛けるインバウンド向けオーベルジュ

事業者名:森本鉄工所
事業計画名:製造品目多様化による経営安定化に向けた高精度・低コストステンレス製精密部品連続旋盤加工技術の確立

事業者名:ベジタスヨガアンドインテリア
事業計画名:体の内と外から成果を出す健康食・鍼灸による複合美容サービス

事業者名:岩見良行政書士事務所
事業計画名:外国人技能実習生の特定技能への変更支援事業

事業者名:カーペイントブライト
事業計画名:自動車板金塗装からカスタムカーの販売への進出

事業者名:コトリカフェ
事業計画名:別府とその周辺での女性一人旅に特化した旅行代理店の開設

引用:事業再構築補助金 第11回公募補助金交付候補者の採択結果
※法人番号の記載がない事業者を個人事業主とみなしています。

新事業進出補助金で個人事業主が受け取れる補助金額はどのくらい?

新事業進出補助金を活用すると、個人事業主はどのくらいの金額を受け取ることができるのでしょうか。

まず、先ほど記載した通り新事業進出補助金では以下のような補助金額、補助率が設定されています。

従業員数補助上限金額
従業員数20人以下2,500万円(3,000万円)
従業員数21~50人4,000万円(5,000万円)
従業員数51~100人5,500万円(7,000万円)
従業員数101人以上7,000万円(9,000万円)

※補助下限750万円
※大幅賃上げ特例適用事業者(事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+
6%を達成)の場合、補助上限額を上乗せ。(上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。)

引用:中小企業新事業進出補助金 公式サイト

個人事業主の場合、基本的に従業員数は20人以下になるので、補助上限金額は2,500万円(大幅な賃上げ等を行う場合は3,000万円)となります。必ずしも上限金額を受け取れるわけではありませんが、採択された場合は補助下限金額である750万円は少なくとも受け取ることができるでしょう。

補助率は1/2なので、補助対象経費の1/2を補助金でまかなうことができます。つまり、例えば設備投資等を行った場合、それにかかった費用のうち半分を自社の資金ではなく補助金を使うことができます。

このように、新事業進出補助金では採択されればかなり大きい金額を個人事業主でも受け取ることができます。

個人事業主が新事業進出補助金に申請時に注意するべきこと

新事業進出補助金も、応募すれば誰でも受け取ることができる補助金ではなく、おそらく申請後に審査があり採択された事業者のみが受け取れる補助金制度になるでしょう。

新事業進出補助金に申請する際、個人事業主が注意しておくべきことについて解説します。

個人事業主が新事業進出補助金に申請時に注意するべきこと

個人事業主が事業再構築補助金に採択されるのが大変な理由

個人事業主の方が財務状況が悪いことがある

まず注意すべきなのは、個人事業主の方が法人よりも財務状況が悪い場合があるという点です

新事業進出補助金では、おそらく非常に大きな金額を受け取ることができますが、あくまで投資金額の一部を補助するものになると予想されます。そうすると、残りの部分については自己資金などでまかなう必要があります。

そのため、著しい損失などがみられる個人事業主は財務状況が健全ではなく、事業を遂行するのに十分な資金を負担することができないと判断され、不採択となってしまう可能性があるかもしれません。自身の財務状況については事前によく確認し、対策を練っておくのが良いでしょう。

新規事業の実施体制が十分でないことがある

また、個人事業主は新規事業に対する実施体制が十分ではない場合が多いです。

補助金に申請する際、基本的には補助金を活用した事業に関する事業計画書を作成し、提出します。その事業計画が実際に実現可能なのかどうかについては大事な審査項目ですが、その際に個人事業主は新規事業の実施体制が十分ではないとみなされてしまう可能性があるのです。

実際に、事業再構築補助金では事業の遂行可能性が審査項目となっています。そのため、この点を示さなければ不採択につながる要因となってしまいます。特に小さい規模で経営している個人事業主の場合は、すでに現在の事業で人手がいっぱいいっぱいということが多くあり、新規事業を行うのに十分な実施体制を確保できることを証明するのが難しい場合もあるのです。

必ず事業計画等を提出する際は、新規事業の実施体制が十分であることを数値やデータに基づいて具体的に記載できるようにしましょう。

個人事業主が新事業進出補助金に採択される3つのポイント

個人事業主が事業再構築補助金に採択される3つのポイント

個人事業主は補助金に申請する際に上記のような点に注意すべきですが、いくつかのポイントを抑えることで採択率を上げることができます。新事業進出補助金に申請する際も、同じくいくつかのポイントに気を付けることが大切です。

以下で解説します。

個人事業主が新事業進出補助金に採択される3つのポイント

①書類に不備がないように申請を行う

個人事業主が補助金に採択されるためのポイントの一つ目が、不備がないように申請を行うことです。提出書類が足りていなかったり、提出した書類の様式が間違っていたりするだけでそもそも審査すらされずに不採択となってしまうからです。

「ミスで不採択なんて稀な例だろう」と考える方も多いかもしれませんが、書類不備による不採択の事例は実は意外と多いのです。現在は公表されていませんが、過去の事業再構築補助金では書類不備による不採択の件数が公表されており、書類不備により不採択となった事業者はなんと全体の事業者の約10%を占めていました。

このように書類不備による不採択というのは意外とあなどれないのです。必ずダブルチェックを行う、支援者に確認してもらうなどの対策をとり、書類不備を避けましょう。

②審査項目を押さえた事業計画書を作成する

個人事業主が補助金に採択されるために一番重要なことは、審査項目を押さえた事業計画書を作成することです。主に、採択の可否については事業計画書の内容で判断されるためです。

補助金の事業計画書は、

  • 現在個人事業主としてどのような事業を行なっているのか
  • 事業者の事業環境はどのようになっているのか
  • 今後どのような戦略をとっていくべきか
  • 新規事業ではどんなことをやるのか

といった内容をわかりやすく論理的に説明する必要があります。審査官は事業者が行う事業の専門家ではないため、専門知識がない人でも理解できるような事業計画書の作成が求められているのです。

また、複数の審査基準がある場合はそれぞれの審査項目に対応するような内容を事業計画書に盛り込む必要があります。慣れていない場合には思ったよりも多く手間がかかることもあるので、注意が必要です

事業計画書の書き方についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。事業再構築補助金の事業計画書の書き方を説明している記事ですが、新事業進出補助金の事業計画書を書く際も参考にできるでしょう。作成に便利なフォーマットも無料で配布しています。

③専門家に支援を依頼する

個人事業主が補助金に申請する際、コンサルなど補助金の申請に精通している専門家に支援を依頼するのも選択肢の一つとしておすすめです

計画している新規事業の内容は素晴らしくても、事業計画書で適切に審査官にアピールできなかったために不採択になるという惜しい事例もあります。専門家に事業計画書の作成をサポートしてもらうことで、事業内容について的確に伝えることができます。

専門家は事業計画書の作成以外にも、必要書類の準備や作成もサポートしてくれるため、申請にかかる手間や時間を削減することも可能です。特に個人事業主は人手が足りず、補助金申請準備まで手が回らないこともあるでしょう。手続きにかかる工数の削減も、専門家に支援を依頼する大きなメリットです。

支援機関を選ぶときのポイントについて、以下の記事にまとめているのでぜひ参考にしてみてください。

個人事業主が新事業進出補助金に申請するときの必要書類は?

新事業進出補助金に申請する際に必要な書類について紹介します。個人事業主に限らず、新事業進出補助金では提出書類が足りていないと不採択になる可能性もあるので注意しましょう。

基本的に個人事業主の必要書類は法人と変わらない

基本的に、個人事業主が補助金申請する際に必要書類は、法人の必要書類と変わりません。ただし、一部個人事業主と法人で異なる書類があるので注意しましょう。

具体的には以下の通りです。

① 決算書(直近2年間の貸借対照表、損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)、製造原価
報告書、販売管理費明細、個別注記表)
② 従業員数を示す書類(労働基準法に基づく労働者名簿の写し)
③ 収益事業を行っていることを説明する書類
・法人の場合:直近の確定申告書別表一及び法人事業概況説明書の控え
・個人事業主の場合:直近の確定申告書第一表及び所得税青色申告決算書の控え(白色申告の場合は直近の確定申告書第一表及び収支内訳書の控え)
④ 固定資産台帳
⑤ 賃上げ計画の表明書
⑥ 金融機関による確認書(金融機関等から資金提供を受けて補助事業を実施する場合のみ)
⑦ リース料軽減計算書(リース会社と共同申請する場合のみ)
⑧ リース取引に係る宣誓書(リース会社と共同申請する場合のみ)
⑨ 再生事業者であることを証明する書類(再生事業者加点を希望する事業者のみ)

引用:中小企業新事業進出補助金 公募要領

新事業進出補助金では、収益事業を行っていることを説明する書類が法人と個人事業主では指定されているものが異なります。その他の書類も場合によっては異なる可能性があるので、必ず確認しておきましょう。

個人事業主が新事業進出補助金に申請する際の手順

補助金に申請するには、いくつかの手順を踏まなくてはなりません。これは、個人事業主でも法人でも変わりません。

新事業進出補助金に申請する際の具体的な手順は以下の通りです。

STEP
GbizプライムIDを取得する

事業再構築補助金の申請には、GbizIDの取得が必要です。GbizIDには種類がいくつかありますが、GbizプライムIDを取得するようにしましょう。取得の申請から受け取るまで2週間程度要するため、事業再構築補助金への申請を検討している場合は早めの取得がおすすめです。

STEP
必要書類を作成する

事業再構築補助金の申請に必要な書類を作成していきましょう。事業計画書の作成がメインとなると思います。質の高い事業計画書を作成するためにも、余裕をもって準備できると良いでしょう。

事業再構築補助金の申請支援のご依頼はこちらから

STEP
電子申請する

必要書類を準備できたら、ミラサポplusから電子申請を進めていきましょう。電子申請では事業者の情報などを入力するとともに、必要書類を添付して提出します。

新事業進出補助金申請時に個人事業主が疑問に思いやすい点

以下では、補助金に申請する際に個人事業主が迷ったり悩んだりしてしまいやすい疑問点をいくつか紹介します。

新事業進出補助金申請時に個人事業主が疑問に思いやすい点

事業再構築補助金について個人事業主が疑問に思いやすい点

個人事業主の疑問点①:付加価値額の計算方法は?

補助金を申請するときに個人事業主が疑問を持ちやすいポイントの一つ目が、付加価値額の計算方法です。付加価値額は、事業計画書や電子申請の時に3〜5年間の収益計画の推移を記載する際に必要になります。補助金に申請する場合、この付加価値額を事業計画書等に記載しなくてはならない場合が多いです。

実はこの付加価値額の計算方法自体は難しくなく、次のように計算することができます。

営業利益+人件費+減価償却費

この計算式は、個人事業主も法人も同様です。個人事業主の営業利益と人件費の計算方法については、以下で説明します。

個人事業主の疑問点②:営業利益・経常利益の計算方法は?

個人事業主の方は、収益計画の「営業利益」「経常利益」の欄にはどのような数字を記載すれば良いかわからずに困ってしまうかもしれません。法人の場合は決算書に営業利益・経常利益が記載されていますが、個人事業主の確定申告書には経常利益という欄は存在しないため、戸惑ってしまう方も多いでしょう。

個人事業主の営業利益と経常利益は、青色申告決算書の数値をもとに次のように計算することができます。

営業利益=差引金額+利子割引料(㉝+㉒)
経常利益=差引金額(㉝)

ぜひ、上記の式を活用して営業利益、経常利益を算出してみてください。

個人事業主の疑問点③:人件費の計算方法は?

人件費は、個人事業主と法人で算出の方法が異なる点に注意が必要です。個人事業主の人件費は次のように算出することができます。

人件費=福利厚生費+給料賃金(⑲+⑳)

多くの補助金申請時に必要となる人件費の記載は、法人の場合だと役員報酬などの経営者の報酬も人件費に計上されますが、個人事業主の場合は専従者給与や事業主の所得については人件費に計上されない点に注意が必要です。

法人と個人事業主の人件費の計算方法の違いについて、以下の記事で解説しているためぜひ参考にしてみてください。

個人事業主の疑問点④:法人成りしても申請できる?採択後の法人成りは?

個人事業主が法人成りしても補助金に申請できるのか、という疑問を持つ方もいるでしょう。結論から言うと、基本的には法人成りをしたとしても補助金に申請することは可能です

ただ、法人成りの履歴を示したり、補助金申請に必要な要件を満たすために追加の書類を出したりする必要が出てきます。

また、採択後の法人成りが可能なのか気になる方もいるかもしれません。採択後の法人成りは原則不可です。法人成りは、申請期日より前に行った場合は補助金事務局から認めてもらえます。法人成りの手続きを採択後に行うことがないよう、早めに準備してくださいね。

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先述したように、補助金で採択率を上げるためには専門家から申請支援を受けることも有用です。申請支援サービスはコンサルティング会社や商工会議所、金融機関等様々なところから受けることができます。

株式会社補助金プラスでも、補助金の申請支援サービスを行っています。個人事業主の方の疑問を解消しながら、審査員に伝わりやすい事業計画書の作成をお手伝いします。必要な書類に関する疑問等もお答えします。これまでの申請支援のノウハウを活かし、採択に向けた申請支援サービスを提供します。

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まとめ

この記事では新事業進出補助金の概要について説明するとともに、個人事業主が採択されるためのポイントや必要書類、法人成りしても申請ができるかなどの注意点について説明してきました。

新事業進出補助金は、非常に大きな金額を受け取ることができる補助金になると予想されます。有効に活用することで個人事業主の方も経営状況を大幅に変える可能性を持っていると言えるでしょう。

新規事業を行うことを検討している個人事業主の方は、新事業進出補助金の活用をぜひ考えてみてください。また、株式会社補助金プラスでも申請サポートをしております。ぜひお気軽にご相談ください。

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