【2025.4】新事業進出補助金は個人事業主も対象?新しい補助金について対象者を解説

事業再構築補助金は個人事業主も活用することができた補助金でしたが、新事業進出補助金は個人事業主も対象になるのでしょうか?
本記事では、事業再構築補助金の内容をもとに新事業進出補助金の対象者、個人事業主との関係について解説します。
新事業進出補助金とは?個人事業主も活用できる?

まず、新事業進出補助金とはどんなものなのでしょうか。おおまかな概要について説明します。
新事業進出補助金は、新規事業への挑戦を目指す中小企業の設備投資を促進してくれる補助金です。補助金の趣旨、目的は事業再構築補助金とおおよそ同じと言えるでしょう。
新事業進出補助金の対象者
新事業進出補助金の対象者について、日本国内に本社及び補助事業実施場所を有する以下の「(1)中小企業者~(4)対象リース会社」のいずれかの要件を満たすものと公募要領に明記されています。
引用:中小企業新事業進出補助金 公募要領
要件は、具体的に以下の通りです。
要件 | 内容 |
(1)中小企業者 | ・資本金又は常勤従業員数が下表の数字以下となる会社又は個人であること。 |
(2)「中小企業者等」に含まれる「中小企業者」以外の法人 | ・以下のいずれかの法人に該当すること。ただし、従業員数が300人以下である者に限る。 ① 「中小企業等経営強化法(平成11年法律第18号)」第2条第1項第6号~第8号に定める法人 (企業組合等) ② 「法人税法(昭和40年法律第34号)」別表第2に該当する法人(一般財団法人及び一般社団法 人については、非営利型法人に該当しないものも対象となります。) ③ 「農業協同組合法(昭和22年法律第132号)」に基づき設立された農事組合法人 ④ 「労働者協同組合法(令和2年法律第78号)」に基づき設立された労働者協同組合 ⑤ 法人税法以外の法律により公益法人等とみなされる法人 |
(3)特定事業者の一部 | ・以下のいずれかに該当すること。 ① 常勤従業員数が下表の数字以下となる会社又は個人(「中小企業等経営強化法(平成11年法律 第18号)」第2条第5項に規定する者を指す。)のうち、資本金の額又は出資の総額が10億円 未満であるもの ② 生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会 ・その直接又は間接の構成員の3分の2以上が、常時300人(卸売業を主たる事業とする事業者については、400人)以下の従業員を使用する者であって10億円未満の金額をその資本金の額又は出資の総額とするものであるもの。 ③ 酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会、酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会 (酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会の場合) ・その直接又は間接の構成員たる酒類製造業者の3分の2以上が、常時500人以下の従業員を使 用する者であって10億円未満の金額をその資本金の額又は出資の総額とするものであるもの。 (酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会の場合) ・その直接又は間接の構成員たる酒類販売業者の3分の2以上が、常時300人(酒類卸売業者に ついては、400人)以下の従業員を使用する者であって10億円未満の金額をその資本金の額又は 出資の総額とするものであるもの |
④ 内航海運組合、内航海運組合連合会 | ・その直接又は間接の構成員たる内航海運事業を営む者の3分の2以上が常時500人以下の従業員を使用する者であって10億円未満の金額をその資本金の額又は出資の総額とするものであるもの。 |
⑤ 技術研究組合 | ・直接又は間接の構成員の3分の2以上が以下の事業者のいずれかであるもの。 ‣上記①記載の事業者 ‣企業組合、協同組合 |
上記を確認し、しっかり自社が当てはまるかどうか事前に確認しておきましょう。個人事業主については、後ほど詳しく解説します。
新事業進出補助金の補助金額、補助率
新事業進出補助金の補助上限金額や補助率は以下のように設定されています。
従業員数 | 補助上限金額 |
従業員数20人以下 | 2,500万円(3,000万円) |
従業員数21~50人 | 4,000万円(5,000万円) |
従業員数51~100人 | 5,500万円(7,000万円) |
従業員数101人以上 | 7,000万円(9,000万円) |
※補助下限750万円
※大幅賃上げ特例適用事業者(事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+
6%を達成)の場合、補助上限額を上乗せ。(上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。)
補助上限金額はこれまでの事業再構築補助金の成長分野進出枠(通常類型)よりも従業員数ごとに1,000万円高く設定されています。事業再構築補助金もかなり大きい金額がもらえる補助金として話題でしたが、新事業進出補助金はそれ以上の金額がもらえるかもしれないということで、かなり人気の補助金になるでしょう。
補助下限金額も設定されているので、少なくともこのくらいは受け取れそうだという目安を考えることもできます。
新事業進出補助金は個人事業主も受け取れる?
新事業進出補助金は中小企業や小規模事業者に向けた支援策として記載されていましたが、個人事業主も受け取ることができる補助金なのでしょうか?
以下で解説します。
新事業進出補助金は個人事業主も受け取れる?
新事業進出補助金は個人事業主も補助対象
補助事業の基本要件について
個人事業主だからといって、どんな事業でも新事業進出補助金を活用できるわけではありません。
補助対象になる事業は、以下の基本要件を満たしている必要があります。
要件 | 内容 |
(1)新事業進出要件 | 「新事業進出指針」に示す「新事業進出」の定義に該当する事業であること ※新事業進出の定義は、「新事業進出指針」にて定めていますので必ずご確認ください |
(2) 付加価値額要件 | 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額(又は従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%(以下「付加価値額基準値」という。)以上増加する見込みの事業計画を策定すること |
(3) 賃上げ要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】 | 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、以下のいずれかの水準以上の賃上げを行うこと ①補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間(令和元年度を基準とし、令和2年度~令和6年度の5年間をいう。)の年平均成長率(以下 「一人当たり給与支給総額基準値」という。)以上増加させること ②補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、給与支給総額の年平均成長率を2.5%(以下 「給与支給総額基準値」という。)以上増加させること |
(4) 事業場内最賃水準要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】 | 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業所内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること |
(5) ワークライフバランス要件 | 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること |
(6) 金融機関要件 | 補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること |
<賃上げ特例の適用を受ける場合の追加要件> (7) 賃上げ特例要件【要件未達の場合、補助金返還義務あり】 | 補助事業実施期間内に、以下の要件をいずれも満たすこと ①補助事業実施期間内に、給与支給総額を年平均6.0%以上増加させること ②補助事業実施期間内に、事業場内最低賃金を年額50円以上引き上げること |

個人事業主も必見!新事業進出要件について
先ほど紹介した基本要件の中から新事業進出要件について解説します。
新事業進出要件は、新事業進出指針に基づいて設定されています。
まず、新事業進出の定義は以下の通りに定められています。
新事業進出の定義
中小企業新事業進出促進補助金(以下「本補助金」という。)において、新事業進出とは、事業を行う中小企業等にとって、事業により製造又は提供(以下「製造等」という。)する製品又は商品若しくはサービス(以下「製品等」という。)が、新規性を有するものであり、それらの属する市場が、既存事業の市場とは異なる新たな市場であることをいう。
引用:新事業進出要件
また、新事業進出の該当要件は以下の通りです。
本補助金の対象となる新事業進出とは、次のいずれにも該当する場合をいう。
(1)製品等の新規性要件事業により製造等する製品等が、事業を行う中小企業等にとって、新規性を有するものであること。
(2)市場の新規性要件
事業により製造等する製品等の属する市場が、事業を行う中小企業等にとって、新たな市場であること。新たな市場とは、事業を行う中小企業等にとって、既存事業において対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする市場を指す。
(3)新事業売上高要件
次に掲げる要件のいずれかを満たすこと。
(ⅰ)事業計画期間最終年度において、新たに製造等する製品等の売上高又は付加価値額が、応募申請時の総売上高の十分の一又は総付加価値額の百分の十五以上を占めることが見込まれるものであること。
(ⅱ)応募申請時の直近の事業年度の決算に基づく売上高が10億円以上であり、かつ、同事業年度の決算に基づく売上高のうち、新事業進出を行う事業部門の売上高が3億円以上である場合には、事業計画期間最終年度において、新たに製造等する製品等の売上高又は付加価値額が、応募申請時の当該事業部門の売上高の十分の一又は付加価値額の百分の十五以上を占めることが見込まれるものであること。
引用:新事業進出要件
必ず上記を事前に確認しておくのが大切です。この要件も、個人事業主も企業も関係なく申請時に満たしておく必要があります。また、そもそも既存事業の拡大等には活用できない補助金なので注意しましょう。
新事業進出補助金の活用イメージ
新事業進出補助金の具体的な活用イメージとして、公式には以下のように記載されています。
【活用イメージ】
機械加工業でのノウハウを活かして、新たに半導体製造装置部品の製造に挑戦
医療機器製造の技術を活かして蒸留所を建設し、ウイスキー製造業に進出
引用:中小企業新事業進出補助金
上記のように、新事業進出補助金は既存事業で培ってきた技術やノウハウを活かし、新たな事業に進出する際に活用できる補助金となっています。
個人事業主が補助金を実際に活用した例
では、具体的にこれまで個人事業主はどんな事業を補助金を活用して行ったのでしょうか。
以下では、実際に個人事業主が事業再構築補助金を活用して始めた事業例を紹介します。ぜひ新事業進出補助金に申請する際の参考にしてみてください。
個人事業主が補助金を実際に活用した例
①カフェがシェアキッチンをオープン
②老舗料亭が急速冷凍機を導入してお土産用のそばを販売
③その他の事例
新事業進出補助金で個人事業主が受け取れる補助金額はどのくらい?
まず、先ほど記載した通り新事業進出補助金では以下のような補助金額、補助率が設定されています。
従業員数 | 補助上限金額 |
従業員数20人以下 | 2,500万円(3,000万円) |
従業員数21~50人 | 4,000万円(5,000万円) |
従業員数51~100人 | 5,500万円(7,000万円) |
従業員数101人以上 | 7,000万円(9,000万円) |
※補助下限750万円
※大幅賃上げ特例適用事業者(事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+
6%を達成)の場合、補助上限額を上乗せ。(上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。)
個人事業主の場合、基本的に従業員数は20人以下になるので、補助上限金額は2,500万円(大幅な賃上げ等を行う場合は3,000万円)となります。必ずしも上限金額を受け取れるわけではありませんが、採択された場合は補助下限金額である750万円は少なくとも受け取ることができるでしょう。
補助率は1/2なので、補助対象経費の1/2を補助金でまかなうことができます。つまり、例えば設備投資等を行った場合、それにかかった費用のうち半分を自社の資金ではなく補助金を使うことができます。
このように、新事業進出補助金では採択されればかなり大きい金額を個人事業主でも受け取ることができます。

個人事業主が新事業進出補助金に申請時に注意するべきこと
新事業進出補助金に申請する際、個人事業主が注意しておくべきことについて解説します。
個人事業主が新事業進出補助金に申請時に注意するべきこと

個人事業主の方が財務状況が悪いことがある
新規事業の実施体制が十分でないことがある
個人事業主が新事業進出補助金に採択される3つのポイント

個人事業主が新事業進出補助金に採択される3つのポイント
①書類に不備がないように申請を行う
②審査項目を押さえた事業計画書を作成する
- 現在個人事業主としてどのような事業を行なっているのか
- 事業者の事業環境はどのようになっているのか
- 今後どのような戦略をとっていくべきか
- 新規事業ではどんなことをやるのか
③専門家に支援を依頼する

個人事業主が新事業進出補助金に申請するときの必要書類は?
新事業進出補助金に申請する際に必要な書類について紹介します。個人事業主に限らず、新事業進出補助金では提出書類が足りていないと不採択になる可能性もあるので注意しましょう。
基本的に個人事業主の必要書類は法人と変わらない
具体的には以下の通りです。
① 決算書(直近2年間の貸借対照表、損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)、製造原価
報告書、販売管理費明細、個別注記表)
② 従業員数を示す書類(労働基準法に基づく労働者名簿の写し)
③ 収益事業を行っていることを説明する書類
・法人の場合:直近の確定申告書別表一及び法人事業概況説明書の控え
・個人事業主の場合:直近の確定申告書第一表及び所得税青色申告決算書の控え(白色申告の場合は直近の確定申告書第一表及び収支内訳書の控え)
④ 固定資産台帳
⑤ 賃上げ計画の表明書
⑥ 金融機関による確認書(金融機関等から資金提供を受けて補助事業を実施する場合のみ)
⑦ リース料軽減計算書(リース会社と共同申請する場合のみ)
⑧ リース取引に係る宣誓書(リース会社と共同申請する場合のみ)
⑨ 再生事業者であることを証明する書類(再生事業者加点を希望する事業者のみ)
引用:中小企業新事業進出補助金 公募要領
新事業進出補助金では、収益事業を行っていることを説明する書類が法人と個人事業主では指定されているものが異なります。その他の書類も場合によっては異なる可能性があるので、必ず確認しておきましょう。
個人事業主が新事業進出補助金に申請する際の手順
新事業進出補助金申請時に個人事業主が疑問に思いやすい点
新事業進出補助金申請時に個人事業主が疑問に思いやすい点
