【2024.2】飲食店の事業再構築補助金の活用方法とは?

飲食店の事業再構築補助金の活用方法とは?

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※記事は作成時の公募要領をもとに作成しているため最新の情報と異なることがございます

コロナ禍で最も注目されている補助金が事業再構築補助金です。この補助金は非常に大きな金額が受け取れる上、対象となる事業者の条件も厳しくなく、様々な経費に利用することが可能です。

そんな事業再構築補助金の活用を検討している飲食店の事業者の皆様も多くいると思いますが、「具体的にどんな事業をすればいいのだろう」とお悩みではありませんか?

この記事では、事業再構築補助金の概要を説明するとともに飲食店での具体的な活用の方向性を実際の採択事例とともに紹介していきます。

この記事を読むことで
・事業再構築補助金とは何かがわかる
・飲食店が事業再構築補助金を活用して行う新規事業のアイデアを得ることができる
・飲食店が事業再構築補助金に採択されるためのポイントがわかる

この記事の目次

事業再構築補助金について

事業再構築補助金は中小企業等のコロナからの回復を目的として作られた補助金です。近年は円安や原油高、ウクライナ情勢の影響を受けている事業者に対する支援策も追加されています。

対象となる事業者

事業再構築補助金 補助対象者

事業再構築補助金は、コロナ禍での影響を受けて落ち込んでいる事業者を応援する補助事業であり、補助対象者については、大前提として資本金10億円未満の事業者を対象としていることがあります。

また、これまでは事業再構築要件及びコロナ禍における売上高減少要件がありましたが、第10回の公募からは以下の2点となりました。

  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  • 付加価値額を向上させること

事業再構築方針に基いた事業計画について、認定経営革新等支援機関の確認を受けることが要件となっており、補助金額が3,000万円を超える案件は、金融機関(銀行、信金、ファンド等)の確認も受けることが要件となっています。金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構いません。

付加価値額の向上については、補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる) 以上増加させることが必要です。

なお、各応募枠によって、下記のような条件もあるため、よく確認しておきましょう。

●成長枠:新規事業が拡大市場に属する

●グリーン枠:グリーン成長戦略の課題の解決に資する取り組みを行う

●産業構造転換枠:既存事業が縮小市場に属する

●物価高騰対策・回復再生応援枠:原油価格や物価高騰の影響で売上高が大幅に減少

また、法人だけではなく個人事業主も対象となっています。多くの飲食店の事業者の方々が二つの条件を満たしているのではないでしょうか。

事業再構築補助金で行える新規事業の要件

事業再構築補助金を活用して行う新規事業は、以下の5つの類型のいずれかを満たす必要があります。この要件は事業再構築要件と呼ばれます。

事業再構築補助金 事業再構築要件5つ

例として飲食店が新規事業としてテイクアウト・デリバリーやキッチンカーによる販売を行う場合は、商品の提供方法の変更であるため業態転換にあたります。

各類型ごとに満たすべき要件が詳細に定められているので事業計画書を作成する際は、事業再構築指針の手引きを参照すると良いでしょう。要件を満たすための考え方の具体例が説明されています。

以下の記事でも5つの類型について詳しく解説しているので合わせて参考にしてみてくださいね。

事業再構築補助金で受け取れる金額

事業再構築補助金で受け取れる金額は、補助対象経費×補助率できまります。

補助率は
・中小企業等か中堅企業等か
・応募枠
によって変わります。以下の表に一覧としてまとめているので参考にしてみてください。多くの飲食店は中小企業等に該当すると考えられるため、通常枠であれば2/3の補助率が適用されます。

応募枠中小企業等中堅企業等
①成長枠1/2(2/3)1/2(2/3)
②グリーン成長枠1/2(2/3)1/2(2/3)
③卒業促進枠1/21/3
④大規模賃金引上促進枠1/21/3
⑤産業構造転換枠2/31/2
最低賃金枠3/42/3
⑦物価高騰対策・回復再生応援枠2/3※1/2※

飲食店は事業再構築補助金に採択されやすい?

飲食店は事業再構築補助金に採択されやすいと言われることがあります。

飲食店の採択率は平均より高かった

事業再構築補助金 業種別応募と採択割合(第5回)
事業再構築補助金第5回公募の結果について

参考に、事業再構築補助金の第5回締切の応募件数と採択件数を見ると宿泊業、飲食サービス業は応募件数が16.3%に対し採択件数が18.4%となっていることがわかります。

採択件数の割合が応募件数の割合よりも高いということは全体平均よりも採択されやすい傾向にあることを示しています。第5回まではこのように飲食店の採択率が高い傾向にありました。

直近の結果では飲食店の採択率は平均より低い

事業再構築補助金 業種別応募と採択割合(第7回)
事業再構築補助金第7回公募の結果について

2022年12月に結果が発表された第7回締切では、宿泊業、飲食サービス業について
採択件数の割合<応募件数の割合
となりました。

このことは飲食店の採択率が全体の採択率よりも低いことを示しています。ただその差は0.6%であるため、顕著に飲食店の採択率が低いわけではありません。

飲食店の事業再構築補助金の採択率が落ちたと考える理由

飲食店の事業再構築補助金の採択率が落ちたと考える理由

飲食店の採択率が若干下がった理由としては以下の二つの理由が想定されます。

①事業再構築補助金の目的のシフト
事業再構築補助金はコロナからの回復を支援することを目的としてスタートしました。ただ近年は円安や原油高、ウクライナ情勢等による新たな事業者への脅威が出現し、これらの支援に重きを置いているように感じられます。

飲食店はコロナの影響を大きく受けた事業者で当初は優遇されていたものの、目的のシフトに伴いコロナの影響という要因の重みが以前より減少したのではないでしょうか。

②新規性のある事業の減少
事業再構築補助金は革新的なビジネスモデルの構築など新規性のある事業が高く評価されます。コロナ直後は、テイクアウトやデリバリーといった形態が飲食店の新たな形態として注目されていましたが、徐々に一般化して以前ほどの新規性が認められなくなったのではないでしょうか。

①に対してはコロナの影響に加えて、円安やその他の要因の経営への影響を説明する、②に対しては単なるテイクアウトやデリバリーではなく革新性のあるビジネスプランを考えることによって採択率を上げることが可能でしょう。

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飲食店の事業再構築補助金を活用した新規事業の方向性

飲食店の事業再構築補助金を活用した新規事業の方向性

冷凍食品の製造・販売

飲食店が冷凍食品を開発して、自動販売機やECサイトで販売するという事業です。

事業再構築補助金の対象経費としては、
・急速冷凍機の購入費
・自動販売機の購入費
・ECサイトの構築費
などが想定されます。冷凍食品の製造・販売事業は事業再構築補助金で多くの採択事例があります。

合同会社INUでは飲食店が冷凍食品の製造・販売事業を行うという想定の元で作成した事業計画書の具体例と採択のポイントを解説した事業計画書作成マニュアルを配布しているので、参考にしてみてくださいね。

事業者名:株式会社シゲキッチン
事業計画名:『焼肉店』から『冷凍食肉加工卸・通信販売業等』に新分野展開
事業内容:焼肉店から、地元ニーズのある冷凍食肉加工商品(和牛やソーセージ等)を、スーパーや飲食店等に真空パック卸販売を行うと同時に、コロナ禍で需要の高まるEC販売という新分野でV字回復を行う事業

キッチンカーによる販売

飲食店がキッチンカーでテイクアウト用の料理を販売するという事業です。

事業再構築補助金の対象経費としては、
・キッチンカーの架装費
などが想定されます。

事業再構築補助金を活用してキッチンカー事業を始める時の注意点は、車両本体の購入費用は補助対象経費とならない点です。

以下の記事で事業再構築補助金のキッチンカー事業への活用方法は詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてくださいね。

事業者名:鈴木 裕介
事業計画名:茨城県食材を活用した「動くレストラン事業」への挑戦
事業内容:元々茨城県内で創作料理店を営んでいた当方はコロナ過で売上が激減。既存事業を縮小しウィズコロナに適応する為、新たに茨城県食材を活用したキッチンカースタイルの「動くレストラン事業」に挑戦します。

テイクアウト専門店の出店

飲食店がテイクアウト専門店を出店している事例です。

事業再構築補助金の対象経費としては
・テナントの改修費
・厨房機器の購入費
・ビラやチラシの作成費

などが想定されます。テイクアウト専門店はコロナ禍に対応した形態として注目を集めています。

事業者名:株式会社ディグワークス
事業計画名:コーヒー&ジェラートのテイクアウト専門店出店による事業再構築
事業内容:既存事業である居酒屋業態が、コロナ禍により大打撃を受けている。そこで、新たにコーヒー・ジェラートのテイクアウト専門店をオープンさせ、売上・利益の増加を図るとともに、出店地の地域活性化に取り組む。

既存とは異なる飲食店の出店

飲食店が既存の料理とは異なる料理を提供する飲食店を出店する事例です。

事業再構築補助金の対象経費としては
・テナントの改修費
・厨房機器の購入費
・ビラやチラシの作成費
が想定されます。このパターンでよくあるのが、居酒屋など夜間の酒類の提供がメインだった店が焼肉店に転換する事例です。

焼肉店は、換気が効いているためコロナ禍でも安心して楽しめる形態として人気です。

事業者名:神田大人の沖縄料理店ぐしけん(沖縄ダイニングきじむなー)
事業計画名:アフターコロナで勝ち抜けるホルモンメインの焼肉店へ事業転換
事業内容:沖縄料理店の経営を行っておりましたが、コロナ禍において宴会キャンセルや、沖縄ライブ等の人が集まるイベント等を中止せざるを得なくなり、今後も需要が高い焼肉業態への転換を行い売上をV字回復させる再構築計画。

宿泊業への展開

飲食店がグランピングなどの宿泊業に展開する事例です。

事業再構築補助金の対象経費としては
・宿泊施設の建設費
などが想定されます。

宿泊業で既存事業の強みである飲食店の料理を提供するといった方法によってシナジー効果を発揮することができます。

事業者名:CSBジャパン株式会社
事業計画名:世界的有名店のレシピとサウナで整う古民家再生型グランピング
事業内容:都内でカフェ・焼肉店を経営する当社は、コロナウィルス感染拡大による既存店の売上減少と、物価高騰による利益率低下に陥っています。そこで当社の最大の強みである「世界的有名店のレシピ」を活用、更に「グランピング界」と「サウナ界」の第一人者と組み、ウィズコロナ時代のアウトドアニーズやワーケーションニーズに対応した、古民家活用型のグランピング施設にチャレンジすることで事業再構築を果たします。

飲食店が事業再構築補助金に採択されるためのポイント

飲食店が事業再構築補助金に採択されるためのポイント

飲食店が事業再構築補助金に採択されるためのポイントを3つ紹介します。

加点を取得する

事業再構築補助金では加点を取得することで採択率を上げることができます。加点とは特定の条件を満たした事業者に与えられる得点で、加点を取得することで審査の際にプラスの評価を受けることができます。

「大きく売上が減少しており業況が厳しい事業者に対する加点」や「足許で原油価格・物価高騰の経済環境の変化の影響を受けている事業者に対する加点」は飲食店が利用できる可能性が高い加点です。

事業再構築補助金の加点については以下の記事で紹介しているので、申請を検討している飲食店の事業者の皆様は合わせて参考にしてみてくださいね。

回復・再生応援枠に応募する

事業再構築補助金では売上が大きく減少した事業者向けの応募枠で回復・再生応援枠という応募枠があります。この応募枠は採択率が通常枠よりも高く、補助率も通常枠よりも高いため要件を満たしている飲食店は回復・再生応援枠への応募を検討してみると良いでしょう。

既存事業とのシナジー効果を考える

事業再構築補助金で重要な審査項目の一つに既存事業とのシナジー効果があります。飲食店の既存事業の強みを活用して、新規事業でどのように差別化を図ることができるかを考えるようにしましょう。

採択事例で紹介したように、飲食店が飲食とは異なる事業を行う際も料理の提供を組み合わせるなどして既存事業を活用した差別化を図りましょう。

まとめ

この記事では飲食店が事業再構築補助金を活用する方法や、採択されるためのポイントを解説してきました。飲食店は採択率がやや減少しているという傾向はあるものの、依然として事業再構築補助金の採択された事業者として大きな割合を占めています。

今回紹介したような採択事例や、採択されるためのポイントを参考にしながら事業再構築補助金の活用を検討してみてくださいね。

合同会社INUでは多くの飲食店の事業者様の採択事例があります。事業再構築補助金を活用した新規事業を行う際はぜひお気軽にご相談くださいね。

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