【2024.2】事業再構築補助金の支援機関はなにがある?探し方のポイントは?
事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの感染拡大により長期に渡って需要や売上の回復が期待できない状況下で、企業の事業再構築を支援するための補助金です。中小企業等は、ポストコロナ時代、ウィズコロナ時代を生き抜くために、事業再構築補助金を有効活用したいものです。今回は、事業再構築補助金の概要と、事業計画を共に策定することになる「支援機関」について解説します。
支援機関とは
支援機関とは、中小企業や個人事業者が安心して相談等ができるように、国や政府から認定された団体のことです。具体的には商工会議所や商工会など中小企業支援者のほか、中小企業診断士、税理士、公認会計士、弁護士、 金融機関等が主な認定支援機関として認定されています。
事業再構築補助金での認定支援機関とは?
事業再構築補助金の申請条件の3つ目に「認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する」という条件があります。この認定経営革新等支援機関を略して認定支援機関と呼びます。
事業再構築補助金の申請には認定支援機関の確認書が必要
認定支援機関は、事業主が作成した事業計画書を見て、①事業計画の内容が事業再構築補助金の対象であること、②事業計画通りに目標達成が見込まれることを確認し、「確認書」を発行します。この確認書は、申請時の必要書類の一つになっています。
事業再構築補助金の概要
誰が申請できる?
補助対象者は、日本国内に本社を有する中小企業者等および中堅企業等です。つまり、大規模でない法人が、補助対象になっています。また、「中小企業者等」の中には個人事業主も含まれているため、個人事業主も対象です。
どのような条件がある?
して資本金10億円未満の事業者を対象としていることがあります。大企業でなければほとんどすべての中小企業等、中堅企業等、個人事業主など利用することが可能です。
また、これまでは事業再構築要件及びコロナ禍における売上高減少要件がありましたが、第10回の公募からは以下の2点となりました。
- 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
- 付加価値額を向上させること
①事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
①については、事業の再構築に取り組む計画、すなわち、中小企業庁が発行している「事業再構築指針」に沿った事業展開を予定していることが条件です。
そして、認定支援機関とは、中小企業を支援する専門的な知見を持った機関のことです。事業計画についての認定経営革新等支援機関の確認は、補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)の確認も受けることが要件となっています。金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構いません。
②付加価値額を向上させること
付加価値額の向上については、補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる) 以上増加させることが必要です。
意外とと忘れがちなのが①事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けることです。どちらも忘れないようにしましょう。
応募枠毎の条件もアリ
なお、各応募枠によって、下記のような条件もあるため、よく確認しておきましょう。
- 成長枠:新規事業が拡大市場に属する
- グリーン成長枠:グリーン成長戦略の課題の解決に資する取り組みを行う
- 産業構造転換枠:既存事業が縮小市場に属する
- 物価高騰対策・回復再生応援枠:原油価格や物価高騰の影響で売上高が大幅に減少
申請を検討しているのであれば一度確認してみると良いでしょう。
何に使える?
事業再構築補助金には、第10回の公募から成長枠、グリーン成長枠、卒業促進枠、大規模賃金引上促進枠、産業構造転換枠、最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠の8つの枠があります。
新規事業は、以下の5つの取り組みが、事業再構築補助金の対象となっています。
①新市場進出
②事業転換
③業種転換
④事業再編
⑤国内回帰
「転換」はハードルが高いため、①の分野で応募する事業者が多いです。
また、補助金の主な対象経費になっているのは、建物費・機械装置費・システム構築費です。新規事業立ち上げのために、これらの費用が必要になる事業者は、申請しやすいでしょう。
事業再構築補助金の申請は難しい
事業計画書が審査項目をおさえないと採択されない
基準をクリアすれば誰でももらえる給付金や助成金と異なり、「補助金」は、基準をクリアするだけではもらえるわけではなく、事業計画書などを厳しく審査します。過去の事業再構築補助金の採用率を見ても、概ね30%台後半~50%台前半と高くありません。支援機関に相談するだけでも採択率があがりますので、気軽に相談した方がいいといえます。
公募 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 |
第1回公募 | 22,229件 | 8,015件 | 36.0% |
第2回公募 | 20,800件 | 9,336件 | 44.9% |
第3回公募 | 20,307件 | 9,021件 | 44.4% |
第4回公募 | 19,673件 | 8,810件 | 44.8% |
第5回公募 | 21,035件 | 9,707件 | 46.1% |
第6回公募 | 15,340件 | 7,669件 | 49.9% |
第7回公募 | 15,132件 | 7,745件 | 51.1% |
第8回公募 | 12,591件 | 6,456件 | 51.3% |
第9回公募 | 9,368件 | 4,259件 | 45.4% |
第10回公募 | 10,821件 | 5,205件 | 48.1% |
第11回公募 | 9,207件 | 2,437件 | 26.5% |
第12回公募 | 7,664件 | 2,031件 | 26.5% |
たくさんの必要書類の提出が必要
事業再構築補助金の申請時に必須の書類は、事業計画書、認定経営革新等支援機関による確認書、コロナ以前に比べて売上高が減少したことを示す書類、決算書、事業財務状況の5つです。この5つの書類だけでもかなりのボリュームですが、申請内容によって追加書類の提出が必要になります。
何が対象経費として申請できるかも判断が必要
補助対象経費は、「事業再構築補助金の対象として明確に区分できるもの」、つまり、経費の必要性と経費の金額の妥当性が、証拠書類によって証明できるものです。しかし、これは曖昧な表現であるため、自身で何を対象経費として申請するのか、見極める必要があります。
主な対象経費に設定されているのは、建物費・機械装置費・システム構築費であるため、この3つの経費をメインに事業計画書を作成すると、事業再構築補助金に通りやすくなります。
事業再構築補助金の支援機関
事業再構築補助金の支援機関は、税理士、公認会計士、弁護士、中小企業診断士、民間のコンサルティング会社、商工会、商工会議所、金融機関などです。税理士、公認会計士、弁護士、中小企業診断士は個人でも法人でも支援機関として認定されます。
コンサルティング会社
支援機関の中でもコンサルティング会社は採択率50.7%を誇り、高い実績を持っています。コンサルティング会社は、常時社内で事業計画の作成を行っていること、優秀な外部人材を抱えていることから、高い採択率を実現することができます。費用はかさみますが、補助金は採択されないと書類準備の時間が水の泡になってしまうことを考えると、必要な投資と考えられます。
金融機関
金融機関には、銀行や地銀、信金、信組、その他の系統金融等が含まれます。事業再構築補助金は、事業完了後の後払いのため、企業内に潤沢な資金がない場合、融資を受けることになります。
また、補助金額が3,000万円を超える場合は金融機関の参加が必須条件となっていますが、金融機関を支援機関にすると、追加で金融機関に参加してもらう必要はありません。この2つの理由から、応募者の約半数が、金融機関を認定支援機関にしています。
金融機関内部の方が支援するケースは少なく、多くの場合、金融機関が、事業者に対し、おすすめのコンサルティング会社を紹介することになります。コンサルティング会社に支援してもらった場合、コンサルティング会社に費用を支払うことになるため、注意が必要です。
商工会議所
支援機関のひとつである、商工会議所は「小規模事業社持続化補助金」の運営主体となっているため、積極的に補助金活用を行う方はご存知の方も多いと思います。採択率は平均程度ですが、「無償」で支援を受けられます。
また、支援担当者が中小企業診断士のケースもあり、中小企業診断士を支援機関に選択した場合の採用率は52.9%と平均よりかなり高いため、お得です。ただし、「無償」のため、担当者により熱量の差があることは頭に置いておきましょう。
おすすめの事業再構築補助金関連の記事も合わせてチェック
・直近公募回のスケジュール
・コンサルの選び方
・採択率の分析
・交付申請の方法
・事前着手の方法
・個人事業主の申請方法
・事業計画書の作成方法
支援機関を探す時のポイントは?
事業再構築補助金の申請支援の実績があるか?
支援機関を探す時は、実績を重視します。事業再構築補助金の申請支援の件数より、採択率を重視して選びましょう。採択率を重視して支援機関を選ぶ時、「補助金採択率○○%」や「申請実績○○件」といった情報は信用できません。「補助金採択率○○%」は、事業再構築補助金ではない他の補助金への採択も含んでいるからです。また、「申請実績○○件」は、実際に採択された件数が何件かわからないからです。
採択率は、認定経営革新等支援機関検索システム(https://ninteishien.force.com/NSK_CertificationArea)で客観的な値を確認することができます。
支援範囲はどこまでか?
支援機関を探す時は、支援範囲も重要です。一般的に支援機関による支援は、補助金申請時、補助金採択期間、補助事業完了後の3つの期間に行われます。補助金申請時は事業計画書の策定と確認書の発行、補助金採択期間は補助事業の経営支援、補助事業完了後は補助事業の報告書類作成の他、3~5年後までの事業状況報告と知的財産権取得のサポートです。
事業再構築補助金において、支援機関が支援すべき期間は補助金申請時のみになっています。しかし、その後も顧問契約も結べる支援機関なら、補助金採択期間、補助事業完了後も支援を受けることができます。
金融機関や商工会議所は、無償のため、長期間に渡る手厚い支援は期待できません。一方、コンサルティング会社は有償だからこそ、補助金申請だけでなく、補助事業を成功させるための支援を受けることができます。また、申請時の必要書類の確認なども丁寧に行ってくれるはずです。
一概にコンサルティング会社が支援範囲が広いとは言えないため、支援機関の候補に上がった機関の支援範囲は丁寧に事前確認するようにしましょう。
- 事業再構築補助金の支援機関を探すときのポイントは?
-
・事業再構築補助金の申請支援の実績があるか?
・支援範囲はどこまでか?
の二点を確認するようにしましょう。 - 事業再構築補助金の支援機関の例は?
-
・金融機関
・コンサルティング会社
・商工会
まとめ
今回は、事業再構築補助金の申請条件の1つである「認定経営革新等支援機関との事業計画の策定」の中の支援機関について解説しました。優秀な支援機関を選ぶことは、事業再構築補助金に採択されるための重要な要素です。この記事が、事業再構築補助金採択の一助になると幸いです。