【2024.2】ものづくり補助金の補助対象経費の支払いは現金払い不可!現金払いについて解説
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)の交付金額は、補助期間中に支出した経費を基に算出されます。
補助対象経費の支払いは現金払い不可です。現金ではなく、原則として銀行振込のみが支払いとして認められます。ただし、10万円未満の支払いなら現金払いが認められるケースがあります。
本記事では、補助対象経費の支払いに現金払いが認められない理由や、現金払い以外の支払い方法の取扱、その他ものづくり補助金の経費についての概要をまとめました。
ものづくり補助金とは?
ものづくり補助金とは、国や自治体が目指すべき姿(政策目標)に沿った事業を行う事業者を支援する、補助金制度の一種です。今後対応が求められる制度変更(インボイス制度や働き方改革など)に対応するため、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善につながる設備投資を行う中小企業や小規模事業者を支援します。
ものづくり補助金とは?
どのような事業者が対象
ものづくり補助金の対象事業者になるのは、中小企業等経営強化法第2項第1項に基づく事業者です。具体的には、「資本金または常時従業員が一定数以下」という条件を満たした事業者が対象になります。基準となる資本金や常勤従業員数は、事業者の業種によって変わるので事前にチェックしておきましょう。
16次公募時点での、ものづくり補助金の対象事業者の基準は次の通りです。
出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(16次締切分)
中小企業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、社会福祉法人に関しては、上記の資本金・常勤従業員数とは異なる基準が設けられています。
対象事業者が補助事業に関する事業計画書を事務局へ提出し、その事業計画書の採択が受けられれば交付申請に進めます。採択を受けるには、ものづくり補助金の事業目的に応じた事業計画の策定と計画の根拠を示すことが必要です。具体的には、申請の最低条件となる「基本要件」と各申請枠に設けられた「追加要件」を満たした事業計画を策定します。
詳細は公募要領をご確認ください。
ものづくり補助金の対象についての詳しい内容はこちら
ものづくり補助金でいくら貰える?
ものづくり補助金の金額は、次の計算式で決定します。
ものづくり補助金の交付金額=申請した経費総額×補助率 |
ものづくり補助金は、事務局へ提出した事業計画書に基づいて支出した経費が算出基礎になります。例えば補助事業中に1,000万円の経費がかかったときは、1,000万円がものづくり補助金の算出基礎です。
補助率は、各申請枠で設定されている割合を適用します。ただし、補助金額には上限額が設けられており、上限額を超える金額を受け取ることはできません。
16次公募時点での、各申請枠の補助上限額・補助率は次の通りです。
ものづくり補助金の枠 | 補助上限額(従業員21人以上) | 補助率 |
通常枠 | 1,250万円 | 1/2(小規模事業者等は2/3) |
回復型賃上げ・雇用拡大枠 | 1,250万円 | 2/3 |
デジタル枠 | 1,250万円 | 2/3 |
グリーン枠(エントリー類型) | 1,250万円 | 2/3 |
グリーン枠(スタンダード類型) | 2,000万円 | |
グリーン枠(アドバンス類型) | 4,000万円 | |
グローバル市場開拓枠 | 3,000万円 | 1/2(小規模事業者等は2/3) |
また、基本要件の基準より大幅な給与支給総額・事業場内最低賃金の引き上げを行う事業者は、補助金の上限額を引き上げられる「大幅賃上げにかかる補助上限額引上の特例」を適用できます。従業員が21人以上の事業者であれば、最大1,000万円が各申請枠の上限から引き上げられます(上限が2,000万円なら最大3,000万円になる)。
ものづくり補助金の申請方法、スケジュールは?
ものづくり補助金は、国が運営する行政サービス「GビスID」や「Jグランツ」などを利用した電子申請で手続きします。窓口への提出や郵送などによる申請は受け付けていません。行政サービスへの登録や電子申請のやり方は、公式サイト「ものづくり補助金総合サイト」にて確認できます。これまで電子申請を行ったことがない事業者でも、マニュアルに沿えば問題なく申請できるでしょう。
以下では、ものづくり補助金のおおまかなスケジュールを紹介します。
ものづくり補助金のスケジュール
- 公募開始・応募期間(約2~3か月)
- 事業計画書の策定
- 電子申請
- 事務局の審査(約2か月)
- 交付申請(採択通知より約1か月)
- 補助事業開始(原則として交付決定日から10か月以内)
- 中間検査
- 確定検査(交付額の確定)
- 補助金の請求・事務局による支払い
- 補助事業終了後の事業化状況報告・知的財産権等報告(6年間、毎年1回ほど)
世情や公募時期によっても変化しますが、上記の通りにスケジュールが進んでいきます。手続きが遅れたり不備が出たりなどが起こらないよう注意しましょう。
ものづくり補助金の採択率はどのくらい?
ものづくり補助金の採択率は、過去5年間を見ると50〜60%で推移しています。過去5年間の申請者数や採択者数は次の通りです。
採択者数 | 申請者数 | 採択率 | |
第11回 | 2,817 | 4,744 | 59.38% |
第12回 | 1,907 | 3,256 | 58.57% |
第13回 | 1,927 | 3,322 | 58% |
第14回 | 2,470 | 4,865 | 50.77% |
第15回 | 2,861 | 5,694 | 50.25% |
ただし、あくまで平均値であって必ずしも半分の確率で採択を受けられるわけではありません。ものづくり補助金の採択率は、事業者の施策などによって上下する傾向が見られます。15次公募終了時点での採択率の傾向は次の通りです。
- 加点項目(基本要件・追加要件とは別途設けられた項目で、満たすと審査時に加点を受けられる)が1個以上あると採択率が上がる(4個なら68.3%)
- 補助金の申請額が高いほど採択率が上がる(申請金額が高額だと、生産性向上につながる積極的な設備投資がやりやすい)
- 補助金に対する支援者への報酬の比率が多いほど採択率は上がる
- 従業員数が多い事業者ほど採択率は上がる
- 製造業や学術研究・専門技術・サービス業は採択率が高い
- 事業計画書の作成時間が短い(10~20時間以内)と採択率が下がる
採択の可能性を高めたいときは、加点項目を満たす数や事業計画書作成にかける時間などをよく検討するとよいでしょう。
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[2023年11月最新版]ものづくり補助金の採択率は低い?15回公募の採択率と採択されやすくする方法を解説!
ものづくり補助金の補助対象経費は銀行振込が原則!
ものづくり補助金の補助対象経費(機械設備の購入費や専門家への依頼費など)を相手へ支払うときは、銀行振込が原則です、現金で直接支払うのは原則として認められていません。ここからは、補助対象経費の支払いに現金が認められない理由や現金払い以外の支払い方法について解説します。
ものづくり補助金の補助対象経費の支払いについて
補助対象経費の支払いは銀行振込の実績で確認される
補助対象経費の支払いは、銀行振込の実績で確認されると公募要領や補助事業の手引きなどで明言されています。
②支払は、銀行振込の実績で確認いたします。 引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金【補助事業の手引き】(15次締切)P15 |
銀行振込の理由は、支払いの確認が確実にできるからです。もし現金払いだと銀行振込のように取引記録が残らないので、本当に経費を支払ったのかが曖昧になってしまいます。
また、他の取引との相殺払による支払い、手形による支払い、手形の裏書譲渡、小切手、ファクタリング(債権譲渡)による支払い、事業期間内に完了しない割賦による支払いは、いかなる事情でも一切認められません。現金払いとともに注意しましょう。
銀行振込で支払う際は、銀行の振込金受取書を必ず手に入れ、伝票類と一緒に保管します。会計実務の処理にあたっては、品目別支出明細書に加えて預金出納帳など各種帳簿を整備しておきます。
少額の場合は、事前に事務局に相談することで現金払いできることも
もし支払う経費が10万円未満の少額だったときは、事前に事務局へ相談することで現金払いが認められるケースがあります。またクレジットカードによる支払いも同様に、事前相談をすれば使える可能性があります。
とはいえ必ずしも認められるわけではないので、原則は現金払いではなく銀行振込で対応するのがよいでしょう。
そもそも、どのような費用が補助対象経費となる?
そもそも、どのような費用が補助対象経費となるかはすべて公募要領に載っています。16次公募時点での、ものづくり補助金の補助対象経費は次の通りです。
補助対象経費 | 概要 |
機械設備・システム構築費 | 補助事業実施に必要な機械・装置や工具・器具、専用ソフトウェア、情報システムの購入・製作(構築)・借用(リースやレンタル)に要する経費 |
技術導入費 | 補助事業の実施に必要な知的財産権等の導入に要する経費 |
専門家経費 | 補助事業の実施に必要な専門家への依頼費や旅費 |
運搬費 | 運搬料、宅配・郵送料等に要する経費 |
クラウドサービス利用費 | クラウドサービスやWebプラットフォームの利用費 |
原材料費 | 試作品の開発に必要な原材料および副資材の購入に要する経費 |
外注費 | 製品・サービスの開発に必要な加工・設計・デザイン・検査などを外注する場合にかかる費用 |
知的財産権等関連経費 | 補助事業に必要な知的財産権等の取得に要する弁理士の手続き代行費用など |
その他申請枠ごとの経費 | 海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費 |
いずれの補助対象経費の支払いも、原則として現金払いは認められていません。
補助対象経費に関する他の注意点
現金払いの取扱の他に、補助対象経費に関する他の注意点をまとめました。
補助対象経費についての注意点まとめ
- 補助金交付決定通知書を受け取った後から、補助対象経費として認められる(補助期間外の経費は認められない)
- 補助事業の実施中に補助事業の内容変更や経費配分の変更を行うときは、あらかじめ変更承認申請書を提出し承認を受ける必要がある
- 補助事業終了後の実績報告書の期日までの提出や確定検査、概算払請求などを経ないと、交付決定を受けていても補助金が受け取れなくなる可能性がある
- 経費申請を税抜きではなく税込みで行っていると、消費税相当額の補助金返還が求められる
- 補助期間終了後でも、補助事業に取得した財産に関して一定期間の管理や処分制限が定められている
- 補助事業関係の書類(証憑書類や帳簿類)は、補助事業完了日の属する年度の終了後から5年間は保存する
- 補助金に係る予算の執行の適正化に関する法律(補助金適正化法)への違反やその他不正などが発覚すると、補助金交付決定の取消・返還命令や不正内容の公表、刑罰などのペナルティとなる可能性がある
まとめ
ものづくり補助金の経費を支払うときは、原則として現金払いが認められていません。取引記録が明確に残る、銀行振込での経費支払いが基本です。現金払いやクレジットカード払いで対応するには、10万円未満のものかつ事前に事務局へ相談しておく必要があります。現金払いしか受け付けない外注業者・店舗はほとんどないと思われますが、現金払いの対応については事前に確認しておきましょう。
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