【2025.6】ものづくり補助金の製造業での活用方法や採択事例、対象経費を解説!

製造業において、ものづくり補助金を活用しようと考える方も多いのではないでしょうか。製造業でものづくり補助金を活用した事例もこれまでに多数あります。
この記事では、ものづくり補助金の概要や製造業における採択事例について解説していきます。
- 製造業でものづくり補助金の活用方法が分かる
- 製造業でものづくり補助金を活用した採択事例が分かる

ものづくり補助金とは|製造業も活用できる補助金
ものづくり補助金とは、国が中小企業や小規模事業者のものづくりに関わる事業に対して一定の割合で費用を負担する仕組みです。この制度の狙いは、製造業などの日本のものづくり産業の国際競争力を向上させることや、地域経済の振興に貢献することにあります。
ものづくり補助金は、毎年募集されており、応募する事業や補助率、補助限度額などは募集要項によって変わります。ものづくり補助金を受けるためには、事前に必要書類を用意し、決められた期間内に電子申請システムで申請しなければなりません。
ものづくり補助金とは|製造業も活用できる補助金
ものづくり補助金の対象は中小企業・小規模事業者
ものづくり補助金は、中小企業や個人事業主が自社の生産性向上や新規事業展開に向けて必要な設備投資や人材育成などを支援する制度です。
この補助金の対象となる事業所は、資本金・従業員数の基準を満たさなければなりません。
また、本補助金は、常勤従業員の数に応じて補助金の額が決まります。例えば、製造業に注目すると、資本金3億円、常勤従業員300人を満たしていれば対象になります。また、期間契約社員などは常勤従業員に含まれないので、従業員数が少ない場合は資本金が10億円以下であれば補助金に申請することができます。

ものづくり補助金の種類と上限金額・補助率
製造業におけるものづくり補助金の補助率と受け取れる金額は、従業員数等によって異なります。
従業員規模 | 補助上限額 | 補助率 |
従業員数 5 人以下 | 750 万円 | 中小企業は1/2、小規模企業・小規模事業者及び再生事業者は2/3 |
6~20 人 | 1,000 万円 | |
21~50 人 | 1,500 万円 | |
51 人以上 | 2,500 万円 |
補助金額は、申請内容や審査結果に応じて変わりますが、一般的には購入したいものの1/2もしくは2/3の割合で補助されます。ただし、補助金の上限は決まっており、それを超える部分は自己負担となります。
ものづくり補助金を申請するには、毎年公開される募集要項に従って、申請書や事業計画書などの書類を作成し、期限内に提出しなければなりません。
製造業が満たすべきものづくり補助金の要件は?
製造業でものづくり補助金を受けるためには、ただ基本要件を満たせばいいのではありません。公募要領には、業種別に存在する要件も記載されています。
公募要領を参考に株式会社補助金プラスが作成した以下の表を確認してみてください。
対象者の条件 | 内容 |
事業規模 | ・資本金3億円以下 ・常勤従業員数300人以下 |
基本要件 | 基本要件①:付加価値額の増加要件 ⚫ 補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、事業者全体の付加価値額の年平均成長率(CAGR。以下同じ。)を 3.0%(以下「付加価値額基準値」という。)以上増加させること。 ⚫ 具体的には、申請者自身で付加価値額基準値以上の目標値(以下「付加価値額目標値」という。)を設定し、事業計画期間最終年度において当該付加価値額目標値を達成することが必要です。 ⚫ 付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。 基本要件②:賃金の増加要件 【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】 ⚫ 補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、 従業員(非常勤を含む。以下同じ。)及び役員それぞれの給与支給総額の年平均成長率を 2.0%(以下「給与支給総額基準値」という。)以上増加させること。 又は従業員及び役員それぞれの 1 人あたり給与支給総額の年平均成長率を事業実施都道府県における最低賃金の直近 5 年間(2019 年度を基準とし、2020 年度~2024 年度の 5 年間をいう。)の年平均成長率(以下「1 人あたり給与支給総額基準値」という。)以上増加させること。 ⚫ 具体的には、申請者自身で給与支給総額基準値以上の目標値(以下「給与支給総額目標値」という。)及び 1 人あたり給与支給総額基準値以上の目標値(以下「1 人あたり給与支給総額目標値」という。)をそれぞれ設定し※1※2、交付申請時までに全ての従業員又は従業員代表者、役員(以下「従業員等」という。)に対して表明のうえ、事業計画期間最終年度において当該給与支給総額目標値及び 1 人あたり給与 支給総額目標値を達成することが必要です。 ⚫ 事業計画期間最終年度において、少なくともいずれか一方の目標値を達成する必要があります。いずれも達成できなかった場合、達成度合いの高い目標値の未達成率に応じて補助金返還を求めます。また、従業員等に対して設定した目標値の表明がされていなかった場合、交付決定取消し、補助金返還を求めます。 ⚫ 給与支給総額とは、従業員及び役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与及び役員報酬等は含み、福利厚生費や法定福利費、退職金は除く)をいいます。また、1 人あたり給与支給総額とは、給与支給総額を従業員数及び役員数で除したものをいいます。 基本要件③:事業所内最低賃金水準要件 【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】 ⚫ 補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、事業所内最低賃金(本補助事業を実施する事業所内で最も低い賃金)を、毎年、事業実施都道府県における最低賃金より 30 円(以下「事業所内最低賃金基準値」という。)以上高い水準にすること。 ⚫ 具体的には、申請者自身で事業所内最低賃金基準値以上の目標値(以下「事業所内最低賃金目標値」という。)を設定し、交付申請時までに従業員等に対して表明のうえ、毎年、当該事業所内最低賃金目標値を達成することが必要です。 ⚫ 達成できなかった場合、補助金返還を求めます。また、従業員等に対して設定した目標値の表明がされていなかった場合、交付決定取消し、補助金返還を求めます。 引用:ものづくり補助金 公募要領 |
製造業者がものづくり補助金に申請する際は、上記の事業規模、基本要件を共に満たす必要があります。その上で、上記の要件を全て満たす3〜5年の事業計画を策定することが必要であると公募要領に記載されています。また、資本金又は従業員数(常勤)に関しては上記の内容の数字以下となる会社又は個人であることが必須条件です。
なお、補助金の額は、従業員数に応じて異なります。また、ものづくり補助金には通常枠以外にもいくつか申請枠の種類があり、申請枠によっては新たに満たすべき要件が増える場合もあるので注意が必要です。
ものづくり補助金の対象となる経費と製造業が使いやすい経費
事業計画に関する費用のうち、ものづくり補助金の対象となるものは限られています。公募要領に従って、補助対象経費の必要性や妥当性を証明できることが重要です。
補助対象経費は、本事業の目的に沿ったもので、以下のいずれかに該当するものです。
- 機械装置・システム構築費(必須)
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
また、単価50万円(税抜き)以上の設備投資を含む事業計画であることが必須です。そのため、機械装置・システム構築費は必ず使用することになるでしょう。
製造業で活用できそうな対象経費としては、機械装置・システム構築費のほかに、技術導入費など、他にも様々な経費に活用できそうです。


製造業にものづくり補助金が活用された採択事例
実際に製造業を営む事業者でものづくり補助金に採択された事例について、以下で説明していきます。
製造業にものづくり補助金が活用された採択事例
電解水装置導入による製造ライン構築事業
事業計画名:電解水装置導入による製造ライン構築事業
企業名:有限会社マルヤマシメ本間水産
ものづくり補助金を利用して、売上・利益を増やすために製造業における工場のクリーンルーム化を目的とした電解水装置を導入した製造業の事例です。
昔ながらの工場で製造業を展開するのは困難でした。
床や作業台、まな板、包丁などの衛生管理には高い基準が求められ、鮮魚の品質維持にも多くの労力がかかります。
電解水導入によって、作業効率や生産量が大きく向上しました。それまで5人必要だった作業が2人で可能になるなど、作業時間の大幅な短縮、生産性の向上、加工品の増産などを実現し、洗浄・清掃・殺菌の工程に新しい設備を導入しながら製造業ラインの再構築を図ることに成功したのです。
大型乾燥機の設備投資
事業計画名:生産力200%達成のための昆布粉末製造設備における大型乾燥機の設備投資
企業名:道南伝統食品協同組合
ものづくり補助金を利用して、乾燥ベルトで昆布を反転させることができる段差式の自動大型乾燥機を導入した製造業の事例です。
湿度を1℃以内に抑えることができず、乾燥ムラになってしまう問題が課題となっていました。
自動大型乾燥機を導入により、乾燥ベルトで昆布を反転させることができるようになり乾燥ムラを抑えることに成功したのです。
また、乾燥させた昆布を粉砕する設備も臼尻町新工場に導入し、粉砕された昆布は、粉が舞わない工場環境で生産され、新規取引の拡大につながり売上の増加とともに、雇用も1.5倍に増えました。
バウムクーヘン等菓子製造機械の販路拡大を目指した設備導入事業
事業計画名:バウムクーヘン等菓子製造機械の販路拡大を目指した設備導入事業
企業名:有限会社横山鉄工
ものづくり補助金を利用して、小規模な生産向け小型バウムクーヘンオーブンを製造するための機械設備を購入した製造業の事例です。
日本では、バウムクーヘンを作るためのオーブンは大きなものが多く、小さなものは少ないという問題が課題となっていました。
製造業における機械の導入によって小規模な生産にも対応できる小型のバウムクーヘンオーブンを開発することに成功したのです。コンパクトなサイズで高品質なバウムクーヘンを作ることができ、多様なニーズに応えるバウムクーヘンの製造が増え、製造業での海外展開も視野に入れられるようになりました。
製造業の海外展開には多くの課題やリスクがありますが、品質の高い製品やサービスを提供することで、国内だけでなく世界中の製造業会社と海外取引ができるようになったのです。
その他の事例
以下は、その他ものづくり補助金に製造業事業者が採択された事例です。
【会社と事業計画】
平山設備工業株式会社
切断工程の効率化を通じた製造業分野の強化による収益力向上の取組み
茨東エフコン株式会社
生コン水分量微調整の自動化による製造業務の一般化
有限会社湯浅機工
産業機器の部品製造業者が内製化による生産性向上と量産化を図る
有限会社大多摩型枠工業所
窯業製品用型枠製造業者が挑む精密部品内製化と生産性向上
株式会社戸井田製作所
製造業国内回帰を進めるプラント向け精密バルブ品質管理の高度化
株式会社浜田製作所
需要の高まるプレス金型製造業務における省人化体制の確立
株式会社共栄金物製作所
製造業のクラウド型製造プロジェクト管理システムの開発
有限会社北栄製作所
産業用機器製造業界に貢献する炭素繊維複合材料を使用した革新的鋳造用木型の生産体制の構築
株式会社三友製作所
MBDによる設計業務改革と製造業務強靭化をDXで先駆け推進
株式会社フクエ精機
製造業としての強靭化体質を強化する設備導入と生産技術の革新
まとめ
この記事では、製造業にものづくり補助金を活用する方法について解説しました。
製造過程を効率化することで製品やサービスの品質も向上し、作業時間の大幅な短縮も可能になります。製造業でものづくり補助金の利用を検討している場合は、この記事を参考にしながらぜひ、申請をおこなってみてください。
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