2025年から募集が始まる新事業進出補助金は、補助金額も高いことが見込まれ、多くの事業者が申請すると考えられる補助金です。
本補助金を活用してゲストハウスを開業したいと考える方も多いでしょう。ゲストハウスの開業に新事業進出補助金を使うことはできるのでしょうか。
この記事では、ゲストハウス開業に新事業進出補助金を活用することはできるのか、実際に補助金を活用してゲストハウス事業を始めた事例を紹介します。
この記事の目次
これから募集が開始する新事業進出補助金とは、どのような補助金なのでしょうか。
新事業進出補助金は、新事業を始める中小企業、小規模事業者に対し設備投資等の支援をしてくれる補助金制度です。事業再構築補助金の後継補助金であり、内容も似ている部分が多くあります。
現在、以下の基本要件が発表されています。
中小企業等が、企業の成長・拡大に向けた新規事業(※)への挑戦を行い、
(※事業者にとって新製品(又は新サービス)を新規顧客に提供する新たな挑戦であること)
①付加価値額の年平均成長率が+4.0%以上増加
②1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における
最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、
又は給与支給総額の年平均成長率+2.5%以上増加
③事業所内最低賃金が事業実施都道府県における地域別最低賃金+30円
以上の水準
④次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等
の基本要件を全て満たす3~5年の事業計画に取り組むこと。
引用:中小企業新事業進出補助金
このほかにも詳細な要件が発表される場合もありますが、現時点では上記に当てはまる事業者であれば本補助金に申請することができるでしょう。
新事業進出補助金を活用して受け取ることができる補助金額の上限と補助率は以下の通りです。
従業員数 | 補助上限金額 | 補助率 |
従業員数20人以下 | 2,500万円(3,000万円) | 1/2 |
従業員数21~50人 | 4,000万円(5,000万円) |
従業員数51~100人 | 5,500万円(7,000万円) |
従業員数101人以上 | 7,000万円(9,000万円) |
※補助下限750万円
※大幅賃上げ特例適用事業者(事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+
6%を達成)の場合、補助上限額を上乗せ。(上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。)
参照:中小企業新事業進出補助金
この金額は事業再構築補助金の一部の申請枠よりも多く、お得な補助金と言えるでしょう。さらに下限金額が750万円であり、採択された事業者は少なくとも750万円を受け取ることができます。
新事業進出補助金には以下のようにいくつか対象経費があります。
今後申請枠等が追加発表された場合は枠によって対象ではない経費も出てくるかもしれません。注意して情報を確認しましょう。
事業再構築補助金の活用方法を開設する前に、まずはゲストハウスについて簡単に説明します。
ゲストハウスとは、宿泊施設の形態の一つです。次のように説明されています。
ゲストハウスとは、宿泊施設の一形態で、簡易宿所やB&B(ベッド・アンド・ブレックファスト)と呼ばれることもあります。ホテルや旅館とは異なり、ドミトリー(相部屋)があったり、トイレやバスルームが共用、アメニティ類の提供がないなど、サービス面を最低限に留めることで、宿泊費用を安価に設定していることが特徴的です。
OAKHOUSE「ゲストハウスとは?」
ホテルや旅館と比較すると宿泊費用が安価に設定されていることがポイントです。
ゲストハウスと似た宿泊施設の形態に民泊があります。この2つの形態の最大の違いは、年間で許可されている営業日が以下のように異なる点です。
それぞれに適用される法律が異なるため、1年間の営業日数にこのような違いが生じています。
なお、民泊事業においても事業再構築補助金の活用は可能です。民泊開業に事業再構築補助金を活用する方法については以下の記事で紹介しているので参考にしてみてくださいね。
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【2025.1】新事業進出補助金は民泊事業で申請するのは難しい?注意点を解説
外国人観光客の増加を背景に、気楽に宿泊することができる民泊の需要は高まっています。民泊事業に参入したいけれど資金不足でできないという方もいるのではないでしょうか?
そこで、新設された補助金「中小企業新事業進出補助金(以下、新事業進出補助金)」を利用したいと考える方も多いでしょう。新事業進出補助金はかなり高額の補助金額が見込まれる制度なので、もし活用することができれば自己資金を抑えて新事業に挑戦することができます。
本記事では、新事業進出補助金を民泊事業に活用できるのか、その場合の注意点等を紹介します。
ゲストハウス開業に新事業進出補助金を活用することはできるのでしょうか。以下で詳しく開設します。
結論を言うと、ゲストハウスの開業という新事業を始めるために新事業進出補助金に申請するのは難しいです。
理由として、新事業進出補助金と近い事業再構築補助金では、建築・購入した施設、設備を自身で占有し、事業用に使用するのではなく誰かに長期間貸すような事業を行うことはできないとされています。かつては事業再構築補助金を利用してゲストハウス開業を行うこともできたのですが、現在は上記のようなルールが施行されています。
ゲストハウスも特定の第三者に設備を一定期間貸す事業に当てはまると言えるため、事業再構築補助金を利用するのは難しいでしょう。そのため、同じく事業再構築補助金の後継補助金である新事業進出補助金を活用することもできないのではないかと言われています。
ゲストハウス事業を始めるために新事業進出補助金に申請することはできますが、不採択になる可能性が高くなってしまうかもしれません。
新事業進出補助金を活用してゲストハウスを始めるのは難しいことは先述した通りですが、過去にゲストハウスを始めるために補助金が利用されたケースはいくつかあります。以下で説明するので、もし補助金を活用してゲストハウス事業を始めたい方がいたら参考にしてみてください。
ゲストハウス開業に事業再構築補助金を活用した採択事例
事業者名:合同会社シェアリアル
事業内容:古い材木店をリノベーションし、「ゲストハウス+ベーカリーカフェ」事業に新規参入します。環境と地域資産(陶芸や地域農産物など)との連携を事業の中心に据え、サービス・商品を提供して参ります。
不動産業・物品賃貸業からゲストハウスに展開した事例です。この事例のように単なるゲストハウスではなく、プラスアルファの要素を加えて他社と差別化を図るのは採択率を上げるために重要です。
この事例は、特に以下のような点で高く評価されていると考えられます。
事業者名:パイパティローマ
事業内容:コロナの影響で人々の生活習慣が変化し都市部での夜型の飲食事業はコロナ収束後も厳しい状況が続く為、名古屋での居酒屋事業から撤退し長野県で体験型ゲストハウス併設の食堂として移転開業し事業再構築をする。
飲食業から補助金を活用してゲストハウス事業を開業した事例です。この事例では、プラスアルファの要素としてゲストハウスに食堂を併設させています。既存事業である飲食業の強みを活かし、他社とは異なるゲストハウスを開業しました。
また既存事業である居酒屋業を撤退している点も「選択と集中」を図っているとして高く評価されたでしょう。
事業者名:CHARI-CAFE POTTER
事業内容:西浦漁協信用部跡地をリノベーションし飲食業から事業を広げ、食堂と個室サウナ付きゲストハウスという宿泊業へ参入。回復と元気をチャージしてもらいたいという想いから人と地域がつながるエイドステーションとして事業転換を図ります。
この事例では、個室サウナを併設したゲストハウスを補助金を活用して開業しています。
サイクリストを主要なターゲットとして差別化を図っている点もこの事例が優れているポイントです。
事業者名:有限会社カノークス
事業内容:瀬戸内海の塩飽諸島にある本島で、塩飽大工が建築した築150年の古民家をリフォームし、ゲストハウスを運営。鍼灸マッサージやドローンを使った空撮など来島者に癒しや非日常体験をして頂く瀬戸内リトリートが補助事業となる。
この事例では、鍼灸マッサージやドローンの空撮等のサービスを合わせて提供するゲストハウスを補助金を活用して開業しました。
既存事業の医療、福祉業の強みを活用したサービス提供で、他社との差別化を図っています。ドローンの空撮サービスで地域資源を有効活用している点もポイントです。
その他、ゲストハウスを開業するために補助金を活用した事例には以下のようなものがあります。
事業者名:株式会社ウチキ
事業内容:山中温泉の地域資源を活用した心豊かで裕福な暮らしの実現。体験型・滞在型ゲストハウスサービス
事業者名:さくらいアセットマネジメント合同会社
事業内容:田園風景を満喫する古民家ゲストハウスへの事業展開
事業者名:SEA STUDIO株式会社
事業内容:空き家リノベーション複合型ゲストハウスによる国際交流施設運営事業
事業者名:株式会社優建
事業内容:ペット特化型のゲストハウスと不動産ポータルサイトの構築と運営
事業者名:一般社団法人ともえ
事業内容:福祉と社会の接点を創出するゲストハウス事業
事業者名:閃光堂スタヂオ
事業内容:インバウンドのチャンスを捉えた富士宮でのゲストハウス事業
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この記事では、新事業進出補助金の概要や新事業進出補助金を活用してゲストハウスを開業できるのかについて解説しました。
新事業進出補助金を活用してゲストハウスを開業することは難しいですが、新事業進出補助金は対象経費も多くお得な補助金制度です。ぜひ自社が成長できそうな新事業があれば、新事業進出補助金の活用を検討してみてくださいね。