【2024.2】ものづくり補助金の事業化状況報告とは?書き方についても徹底解説!

ものづくり補助金 事業化状況報告

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※記事は作成時の公募要領をもとに作成しているため最新の情報と異なることがございます

ものづくり補助金の事業化状況報告とは何でしょうか。ものづくり補助金では、補助事業完了後に補助金を受給した後も定期的に状況報告を行う必要があります。この記事では、ものづくり補助金の事業化状況報告についての解説と、具体的な記載方法についても紹介します。

この記事の目次

ものづくり補助金の手続きに関するスケジュールは?

ものづくり補助金の手続きに関するスケジュールは?

ではものづくり補助金の手続きに関するスケジュールを確認していきましょう。
ものづくり補助金の申請から補助金の受給に至るまでのスケジュール内容を、以下の第16次公募スケジュールを参考にしながらみていきます。

*参考:https://portal.monodukuri-hojo.jp/schedule.html

採択、交付申請

まずものづくり補助金の申請のためGビズIDにてログイン後、電子システムにて事業計画書や必要書類を送り、ものづくり補助金の申請処理を行います。
その後審査が行われ、審査に通過すると「採択通知」が電子システムに届きます。その後に行う「交付申請」によって具体的な補助金額等の内容が決定します。
次いで事務局側より「交付決定」の通知が届き、補助事業を開始します。

<補助事業実施中>
補助事業実施期間中は、「遂行状況報告書の提出や中間監査」が行われます。

<補助事業終了後>
補助事業が完了した後は、「実績報告書」及び見積書・請求書等などの経費出納帳関連書類・機材の納品場所写真等の提出です。電子システムから返送される書類内容の不備修正を行うとともに、事務局側からの「確定監査」を受け全ての書類が受理されると「補助金受給」となり、指定の口座に振り込まれます。

補助金返還規定、収益納付制度

原則返済する必要のないものづくり補助金ですが、補助金の給付が完了したとしても補助金の返還が発生する場合があります。ものづくり補助金には補助金の返還規定と収益納付制度というものがあります。どちらの内容も正しく理解し、補助金受給の数年後に返還する事態を避けましょう。

補助事業実施中 補助事業終了後

〈補助金返還規定〉
補助金返還規定は、ものづくり補助金の申請時に提出した賃上げ計画の誓約書を守れなかった場合に発生します。
賃上げ計画の誓約書に記載した「給与支給総額の増加目標が未達の場合」と「事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合」にそれぞれ補助金の返還が求められます。

〈収益納付制度〉
収益納付制度は、ものづくり補助金の補助事業完了後に5年間定期的に行う事業化状況報告において、相当の収益が出ている際に発生する補助金返還制度です。

事業化状況報告書とは

例外なく、ものづくり補助金を活用した全ての補助事業者は、補助事業を終了した後6年間にわたって、事業化状況報告にて報告をする必要があります。ものづくり補助金の事業化状況報告に何を記載すればよいか、報告項目とともに1つずつ確認していきましょう。

事業化状況報告書のとは

ものづくり補助金の事業化状況報告書の内容

事業化状況報告の内容

事業化状況報告は、ものづくり補助金にて行った補助事業が完了した後定期的に行う報告ですが、報告を行うタイミングは共通の報告期間が設けられています。報告内容は以下の5点です。

  1. 「事業化状況・知的財産権等報告書」
  2. 「事業化状況等の実態把握調査票」
  3. 「返還計算シート」
  4. 直近の損益計算書(知的財産権の報告は、交付決定から報告対象年度終了時点までの損益計算書をいう。)
  5. 賃金台帳

全事業者共通の事業化状況報告の報告期間は、毎年4月1日〜5月31日の2か月間です。1回目の報告時期は補助金額が確定した時期で決まるので、事業者毎に報告の開始時期は異なります。
また報告回数は、事業計画年数に関わらず、1回目の報告から5年間で計6回行います。事業化状況報告は毎年4月に行いますので、事業者は忘れずに手続きを行いましょう。

事業化状況・知的財産権等報告システムを用いて報告

事業化状況報告は「事業化状況・知的財産権等報告システム」を利用して報告をします。システムのログインは下記 URL よりログインします。
→令和元年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
「事業化状況・知的財産権等報告システム」
またURLログインの際には gBizID プライムのアカウント ID ・gBizID プライムのパスワードがそれぞれ必要です。
GbizID取得についてはこちら

事業化状況報告書の書き方

事業化状況報告書の書き方

事業化状況の書き方

まず事業化状況についてです。ものづくり補助金の交付規定にある「事業化状況・知的財産等報告書」に記載を行います。事業化についての報告には、補助事業の実施成果と、実際に事業化が為されたかを回答する箇所があります。
まだ事業化できていない場合は事業化なしを選択するようにしましょう。次いで下記を記載します。

  • 補助事業に要した経費
  • 補助金確定額
  • 補助事業に係る本年度売上額
  • 補助事業に係る本年度収益額
  • 控除額
  • 本年度までの補助事業に係る支出額
  • 基準納付額
  • 前年度までの補助事業に係る全国中央会への累積納付額
  • 本年度納付額
  • 備考

参照:ものづくり補助金の交付規定


知的財産権取得状況の書き方

知的財産権等についての報告は、ものづくり補助金の補助事業に係る知的財産権について報告を行えば良いので、会社全体の知的財産権の報告は必要ありません。
知的財産権等の取得状況について、現在出願中又は既に取得済みであるならば、該当する件数を記載しましょう。ちなみに、件数のカウントは報告対象年度ごとではなく、交付決定から報告対象年度終了時点までの出願中・取得済みの全件数を記載します。なお、それぞれの件数ごとに、以下の内容の記載が必要です。

  • 種類
  • 出願日
  • 出願番号
  • 出願人
  • 審査請求日
  • 登録番号
  • 技術内容
  • 備考(備考欄には、知的財産権等の取得に係る最新状況や、譲渡及び実施権設定の場合は、相手先(名称・住所・電話)及び条件(契約日・契約期間・金額等)を具体的に記入)

参照:ものづくり補助金の交付規定

給与支給状況の記載

続いて事業化状況報告の給与支給状況を記載していきます。
ここから先の給与支給総額と事業所内最低賃金の箇所は、ものづくり補助金申請の基本要件に位置付けられる重要項目です。
基本要件1つ目の給与支給総額は、年率平均1.5%以上増加させることが求められます。
そして基本要件2つ目の事業者内最低賃金の向上は、ものづくり補助金を申請する事業者が「地域別最低賃金(国が定める地域別の最低賃金)」から30円以上あげる必要があるという規定です。
さて、基本要件1つ目の給与支給総額(または一人当たりの賃金)の記載方法についてですが、報告のタイミングは事業計画終了後です。給与支給総額の年率平均の記載方法は、〈年率平均の増加〉を確認するための特別計算式を用いて数値をだしていきます。

〈年率平均の増加確認〉の計算式は以下を用います。


給与支給総額は上に挙げた計算式により算定された比率が給与支給の現況にあたります。ここで注意が必要なのが、年率平均の増加が1.5%以上であれば何の問題もありません。
しかし、算定された比率が1.5%未満だった場合、補助金の返還義務が発生します。返還する額は、ものづくり補助金様式13別紙②にある「返還計算シート」にて算定し補助金の返還額を決定します。*様式13別紙②「返還計算シート」はものづくり補助金交付規定にあります。

また事業化状況報告の給与支給状況の記載箇所について、給与支給総額の比率を用いずに、一人あたりの賃金の年率平均増加率を用いる場合は、特別な事情についての具体的な説明を記載しなければなりません。
ものづくり補助金の給与支給総額の詳細についてはこちら

事業所内最低賃金の記載

次に事業所内最低賃金についての記載方法です。こちらは毎年3月末時点で報告を行います。
事業所内最低賃金の確認ですが、地域別最低賃金+30円という状況は何かというと、例えば、東京都の地域別最低賃金は、2023年10月現在1,113円です。
なので、ものづくり補助金の基本要件にある「事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする」に適用させるために、事業者は補助事業実施場所で働く従業員の時給を、1,113円+30円=1,143円以上にすることが求められるということです。

もちろん、ものづくり補助金を申請した段階で事業者内最低賃金が、地域別最低賃金+30円以上である場合は賃上げを行う必要はありません。

では事業所内最低賃金の箇所の記載ですが、下記の内容を記載します。
〈最低賃金の増加確認〉

  • 毎3月末時点での地域別最低賃金(円):ア
  • 事業場内最低賃金計画(円):イ
  • 本報告時における事業場内最低賃金(円):ウ


上記の数値を比較して、
(1)イ(事業場内最低賃金計画(円))≦ ウ(本報告時における事業場内最低賃(円))→返還不要
(2) イ (事業場内最低賃金計画(円))> ウ(本報告時における事業場内最低賃(円))→返還必要
となり、最低賃金の基本要件水準を満たさなかった場合は補助金の返還義務が発生します。上記の給与支給総額の対応と同じで、ものづくり補助金様式13別紙②の「返還計算シート」にて算定し、補助金の返還額を決定します。

事業化状況等の実態把握調査票

ここまでで、内容によっては補助金の返還が発生する給与支給総額と事業所内最低賃金の記載が完了し終えると、次は事業化状況等の実態把握調査票へと移ります。
事業化状況等の実態把握調査票では、事業の状況について1.現在の取組状況や2.継続試作開発の状況、3.事業化に関する状況の内容を記載していきます。
1.現在の取組状況では、3つの区分別(①補助金交付申請時・②補助事業実施年度末・③現在)に下記を記載します。

  • 資本金
  • 従業員数
  • 総売上高
  • 経常利益及び付加価値額の算出
  • 営業利益
  • 営業外費用
  • 経常利益
  • 人件費
  • 減価償却費
  • 付加価値額

ここでは、3つの区分別(①補助金交付申請時・②補助事業実施年度末・③現在)の経営・財務状況を示します。
また、現在の取組状況の箇所では、「現在までの事業化に関する状況」にて現在事業化が行われてるかどうかを(有 / 無)で記入する箇所があります。ここで、現在事業化が(有)であると選択した場合、事業化した事業の状況について以下のいずれかをチェックするようになっています。
〈事業化「有」を選択した場合〉

  • 第1段階 : 製品※5の販売活動に関する宣伝等を行っている 
  • 第2段階 : 注文(契約)が取れている
  • 第3段階 : 製品※5が1つ以上販売されている
  • 第4段階 : 継続的に販売実績はあるが利益は上がっていない
  • 第5段階 : 継続的に販売実績があり利益が上がっている


またものづくり補助金を活用した事業内容が、「ものづくり技術」ではなく「革新的サービス」で活用した事業者は、製品をサービス等に読み替えて事業化段階を選択します。

2.継続試作開発の状況では、成果や事業化の見通しを記載します。
次に、補助事業に係る試作開発等の所要経費の推移について、「総事業費」、「自己負担額」、「補助金額」のそれぞれを補助事業年度と以降5年間について記載します。

3.事業化に関する状況では、まず以下の2点において該当するかを選択します。
(1)補助事業の成果に基づく製品の販売又は譲渡
(2)補助事業の成果に基づき取得した知的財産権等(特許権、実用新案権、商標権若しくは意匠 権)の譲渡又は実施権の設定
いずれかに該当した際は、下記の表にある項目内容の記載が必要です。

  • 製品の名称
  • 販売金額(売上額)
  • 1個当たり原価
  • 販売数量(売上数量)
  • 販売原価
  • 補助事業に係る本年度収益額

参照:ものづくり補助金の交付規定

原価算出表の記載

事業化状況報告の最後の項目は原価算出表です。原価算出表は原材料費、外注加工費、労務費、工場経費の経費ごとに「当該事業の原価」、「原価総額」、「当該事業の原価算出根拠」を記載していきます。一番最後に、総原価・総製造数量・一個当たり原価を記せば完了です。

まとめ

ものづくり補助金の事業化状況報告は、事業化の詳しい情報や具体的な数値や算出根拠など細やかな記載が求められます。事業者は補助金の交付を受けてから計6回、5年間にわたっての事業化状況報告が必要です。事業化状況報告の記載方法を確認し、交付規定及びよくある質問集を参考にしながらスムーズに報告手続きを完了させましょう。

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