新事業進出補助金の補助対象となる経費は多岐にわたりますが、その中に「家賃」は含まれるのか疑問に思ったことはないでしょうか?
実は、家賃は新事業進出補助金の対象経費ではありません。
今回は新事業進出補助金の概要や家賃が補助対象経費にならない理由、家賃以外の補助対象とならない不動産関係の経費、家賃とは異なり補助対象となる「建物費」の概要等について紹介します。
この記事の目次
新事業進出補助金とは、中小企業庁が主催している補助金事業です。以下で新事業進出補助金の対象事業者やどんなときに補助金を使うことができるのか、受け取れる金額について解説します。
新事業進出補助金は、中小企業や小規模事業者が新たな事業にチャレンジする際に必要な初期経費等を補助してくれる制度です。補助対象者については、大前提として資本金10億円未満の事業者を対象としています。大企業でなければほとんどすべての中小企業等、中堅企業等、個人事業主などが利用することが可能でしょう。
その他、基本要件というものがあります。申請する会社は以下を満たさなくてはなりません。
要件 | 内容 |
(1)新事業進出要件 | 「新事業進出指針」に示す「新事業進出」の定義に該当する事業であること ※新事業進出の定義は、「新事業進出指針」にて定めていますので必ずご確認ください
|
(2) 付加価値額要件 | 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額(又は従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%(以下「付加価値額基準値」という。)以上増加する見込みの事業計画を策定すること |
(3) 賃上げ要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】 | 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、以下のいずれかの水準以上の賃上げを行うこと ①補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間(令和元年度を基準とし、令和2年度~令和6年度の5年間をいう。)の年平均成長率(以下 「一人当たり給与支給総額基準値」という。)以上増加させること ②補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、給与支給総額の年平均成長率を2.5%(以下 「給与支給総額基準値」という。)以上増加させること |
(4) 事業場内最賃水準要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】 | 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業所内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること |
(5) ワークライフバランス要件 | 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること |
(6) 金融機関要件 | 補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること |
<賃上げ特例の適用を受ける場合の追加要件> (7) 賃上げ特例要件【要件未達の場合、補助金返還義務あり】 | 補助事業実施期間内に、以下の要件をいずれも満たすこと ①補助事業実施期間内に、給与支給総額を年平均6.0%以上増加させること ②補助事業実施期間内に、事業場内最低賃金を年額50円以上引き上げること |
引用:中小企業新事業進出補助金 公式サイト
上記はどの枠に申請する場合でも、必ずどれかは満たす必要があるので注意しましょう。
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新事業進出補助金で受け取ることができる金額は事業者ごとに異なります。第1回公募では、以下のような補助率、補助上限金額が設定されています。
従業員数 | 補助上限金額 | 補助率 |
従業員数20人以下 | 2,500万円(3,000万円) | 1/2 |
従業員数21~50人 | 4,000万円(5,000万円) |
従業員数51~100人 | 5,500万円(7,000万円) |
従業員数101人以上 | 7,000万円(9,000万円) |
※補助下限750万円
※大幅賃上げ特例適用事業者(事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+
6%を達成)の場合、補助上限額を上乗せ。(上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。)
参照:中小企業新事業進出補助金
上記をもとに、自社はいくらもらうことができそうかシュミレーションしておくのがおすすめです。
先述したように、家賃は新事業進出補助金の対象経費ではありません。以下で詳しく解説します。
新事業進出補助金の対象経費はその種類ごとに区分されており、以下がその一覧です。
機械装置・システム構築費(建物費といずれか必須)
建物費(機械装置・システム構築費といずれか必須)
運搬費
技術導入費
知的財産権等関連経費
(検査・加工・設計等に係る)外注費(補助上限額:補助金額全体の 10%
専門家経費(補助上限額:100万円)
クラウドサービス利用費
広告宣伝・販売促進費(補助上限額:事業計画期間1年あたりの売上高見込み額(税抜き)の5%)
引用:中小企業新事業進出補助金 公募要領
上記の中で建物関連の対象経費には「建物費」があります。しかし、家賃はこの建物費には含まれず、他の対象経費にも含まれません。したがって、事務所等の家賃は新事業進出補助金の対象外です。
また、公募要領にも新事業進出補助金の補助対象外となる経費として以下のように書いてあります。
事務所等に係る家賃、保証金、敷金、仲介手数料、水道光熱費等
引用:中小企業新事業進出補助金 公募要領
家賃が対象にならない理由は、新事業進出補助金における対象経費は「事業の対象として明確に区分できる」ものに限られているためです。言い換えれば、「新たな事業を行う上で必要不可欠な経費」が新事業進出補助金の支援対象となるということです。家賃のように、新たな事業をやらなかったとしても発生しうる経費は対象とはなりません。
ただし、補助事業の遂行にあたって一時的に貸店舗や貸工場に移転する場合、その移転先の賃借料については、新事業進出補助金の対象経費として認められるかもしれません。したがって、家賃に類する経費の全てが補助対象経費とならないわけではないと言えるでしょう。もし迷った場合は補助金事務局に問い合わせするのをおすすめします。
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不動産に関して補助の対象とならない経費としては、家賃の他にも土地や建物の取得自体にかかる経費が挙げられます。
土地や建物の取得費用は、一見したところ家賃と異なり対象経費区分の一つである「建物費」に該当しそうに思えますが、新事業進出補助金の公募要領によれば「建物費」として認められるのは建物の改修等に要する経費であるとされています。そのため土地や建物の取得費用は、家賃と同様に新事業進出補助金の補助対象外です。
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新事業進出補助金の建物費は、家賃や土地の取得費用には使えないということがわかりました。では、建物費はどんなことに活用できるのでしょうか?以下で解説します。
新事業進出補助金の公募要領によれば、「建物費」として認められる経費は
①専ら補助事業のために使用される生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、作業場、その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費
② 補助事業実施のために必要となる建物の撤去に要する経費
③ 専ら補助事業のために使用される建物に付随する構築物の建設に要する経費
引用:中小企業新事業進出補助金 公募要領
の3種類に限られています。
多くの場合、①の経費のうち建物の「改修」に要する経費が、新事業進出補助金における「建物費」の主な用途と言えるでしょう。
上述したように、新事業進出補助金における「建物費」としては、建物の撤去に要する経費も認められています。また、家賃に類する経費とも言える貸店舗への一時的な移転に要する経費なども建物費として認めれると考えられます。
ただし、建物の取り壊しや原状回復に要する経費「だけ」を対象として、新事業進出補助金の申請を行うことはできません。理由は、家賃が事業に必要不可欠とはいえないために補助対象経費とならないことと類似しています。
新事業進出補助金は中小企業の新事業進出を支えるという趣旨で制定されたものなので、単に建物の取り壊しや原状回復を対象経費として申請したのでは家賃と同様に「新事業進出に資するものではない」とみなされてしまいます。
したがって取り壊しや一時移転に要する経費が、家賃などとは異なる「新たな事業を行う上で必要不可欠な経費」として扱われるためには、「事業拡大につながる事業資産への投資」を含む事業計画を以て申請する必要があるのです。
さらに、新事業進出補助金における建物費として、建物を新築する際の経費を申請するにあたっては、「新築することが補助事業の実施に真に必要不可欠であること」と「新築以外の代替手段が存在しないこと」を示さなければならないでしょう。そのためには申請の際に「新築の必要性に関する証明書」を提出しなくてはならないと考えられています。
新事業進出補助金に申請したいけど、不安な点がありなかなか着手できていない方はいませんか?本記事で解説した対象経費をどれにすれば良いかわからない、などの悩みを抱えている方も多いかと思います。
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この記事では、新事業進出補助金の概要や、家賃が新事業進出補助金の補助対象経費として認められないことを解説しました。建物費として家賃を申請するのは認められないため、注意しましょう。
新事業進出補助金の各経費区分のうち、建物費は要件が複雑なので、気になる点があれば一度専門家に相談するのがおすすめです。新事業進出補助金についてわからない点がある方は、ぜひ株式会社補助金プラスの初回無料相談もご利用ください。
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