【2024.2】家賃は事業再構築補助金の対象外!建物に関して気をつける経費は?

家賃は事業再構築補助金の対象外!建物に関して気をつける経費は?

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※記事は作成時の公募要領をもとに作成しているため最新の情報と異なることがございます

事業再構築補助金の補助対象となる経費は多岐にわたりますが、その対象に「家賃」が含まれるのか疑問に思ったことはないでしょうか? 今回は事業再構築補助金の概要や、家賃が補助対象経費とならない理由、家賃以外の補助対象とならない不動産関係の経費、家賃とは異なり補助対象となる「建物費」の概要、建物費のうち家賃に類するともいえる「一時移転に要する経費」などの点についてご紹介します。

この記事の目次

事業再構築補助金は誰が使える?

事業再構築補助金の対象

事業再構築補助金 補助対象者

家賃を始めとした諸費用が事業再構築補助金の対象となるのかを紹介する前に、事業再構築補助金自体の概要について解説させていただきます。

事業再構築補助金は、コロナ禍での影響を受けて落ち込んでいる事業者を応援する補助事業であり、補助対象者については、大前提として資本金10億円未満の事業者を対象としていることがあります。大企業でなければほとんどすべての中小企業等、中堅企業等、個人事業主など利用することが可能です。

また、これまでは事業再構築要件及びコロナ禍における売上高減少要件がありましたが、第10回の公募からは以下の2点となりました。

  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  • 付加価値額を向上させること

事業再構築方針に基いた事業計画について、認定経営革新等支援機関の確認を受けることが要件となっており、補助金額が3,000万円を超える案件は、金融機関(銀行、信金、ファンド等)の確認も受けることが要件となっています。金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構いません。

付加価値額の向上については、補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる) 以上増加させることが必要です。

なお、各応募枠によって、下記のような条件もあるため、よく確認しておきましょう。

  • 成長枠:新規事業が拡大市場に属する
  • グリーン成長枠:グリーン成長戦略の課題の解決に資する取り組みを行う
  • 産業構造転換枠:既存事業が縮小市場に属する
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠:原油価格や物価高騰の影響で売上高が大幅に減少

申請を検討しているのであれば一度確認してみると良いでしょう。

事業再構築を行うときに使える

事業再構築補助金のもう一つの主要な要件として、「事業再構築要件」があります。

事業再構築要件は、事業再構築補助金によって支援対象となる事業再構築が①「新市場進出」、②「事業転換」、③「業種転換」、④「事業再編」、⑤「国内回帰」の5類型のいずれかに該当する必要があるとするものです。

事業再構築補助金 事業再構築要件5つ

①「新市場進出」とは、中小企業等が主たる業種や主たる事業を変更することなく、新たな製品の製造や、新たな商品、サービスの提供によって新たな市場に進出することを指します。

②「事業転換」とは、中小企業等が主たる業種を変更することなく、新たな製品の製造や、新たな商品、サービスの提供によって、主たる事業を変更することを指します。

③「業種転換」とは、中小企業等が新たな部品の製造や、新たな商品、サービスの提供によって、主たる業種を変更することを指します。

④「事業再編」とは、合併や会社分割、株式譲渡、事業譲渡等の「会社法上の組織再編行為」を補助事業開始後に行い、新たな事業形態のもとで、「新市場進出」「事業転換」「業種転換」「業態転換」のいずれかを行うことを指します。

⑤「国内回帰」とは、海外で製造等する製品について、製造方法が先進性を有する国内生産拠点の整備をすることを指します。

なお、事業再構築要件は、事業再構築補助金のどの採用枠においても充足される必要があります。

家賃は事業再構築補助金の補助対象外

家賃は事業再構築補助金の補助対象外

事務所などの家賃は補助対象外となる

事業再構築補助金の対象経費はその種類ごとに区分されており、その中で「建物費」という区分があります。しかし、家賃はこの「建物費」を始めとした各区分には含まれません。したがって、事務所等の家賃は事業再構築補助金の対象外となります。

事業再構築補助金の公募要領においては、「事務所等に係る家賃」のほかにも、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費などが補助対象外であると明記されています。

なぜ家賃が対象にならないのかと言えば、事業再構築補助金における対象経費は「事業の対象として明確に区分できる」ものに限られているためです。言い換えれば「新たな事業を行う上で必要不可欠な経費」が事業再構築補助金の支援対象となるということで、家賃のように新たな事業をやらなかったとしても発生しうる経費は対象とはならないのです。

ただし、補助事業の遂行にあたって一時的に貸店舗や貸工場に移転する場合、その移転先の賃借料については、事業再構築補助金の対象経費として認められる余地があります。したがって、家賃に類する経費の全てが補助対象経費とならないわけではありません。

土地や物件を購入する場合もその費用は補助対象外

不動産に関して補助の対象とならない経費としては、家賃の他にも土地や建物の取得自体にかかる経費が挙げられます。

土地や建物の取得費用は、一見したところ家賃と異なり対象経費区分の一つである「建物費」に該当しそうに見えますが、事業再構築補助金の公募要領によれば「建物費」として認められるのは建物の改修等に要する経費であるとされています。そのため土地や建物の取得費用は、家賃と同様に事業再構築補助金の補助対象外となっています。

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事業再構築補助金の建物費は何に使える?

主に物件の改修に使える

事業再構築補助金の建物費は何に使える?

それでは、家賃とは異なり事業再構築補助金の対象経費の一つとなっている「建物費」とは一体どのようなものなのでしょうか?家賃に類するものの、家賃とは異なって建物費としてみなされる一時移転の経費についてもあわせて解説します。

事業再構築補助金の公募要領によれば、「建物費」として認められる経費は

①「専ら補助事業の為に使用される(中略)建物の建設・改修に要する経費」
②「補助事業実施の為に必要となる建物の撤去に要する経費」
③「補助事業実施の為に必要となる賃貸物件等の原状回復に要する経費」
④「貸工場・貸店舗等に一時的に移転する際に要する経費」

の4種類に限られています。

このうち、②の建物撤去に要する経費と③の原状回復に要する経費だけを事業計画とする申請は認められません。④の一時的に移転する際の経費も「補助事業実施期間内に、工場 ・店舗 の改修や大規模な設備の入替えを完了し、貸工場 ・貸店舗等 から退去する」等の制約があります。さらに、①の建物の建設・改修に要する経費については、後述するように建物の「新築」に関しては新築する必要性がないと対象費用として認められないという要件があります。

そのため、①の経費のうち建物の「改修」に要する経費が、事業再構築補助金における「建物費」の主な用途となっていると言えるでしょう。

取り壊しや一時移転の経費も使える

上述したように、事業再構築補助金における「建物費」としては、建物の取り壊しに要する経費も認められています。また、家賃に類する経費とも言える貸店舗への一時的な移転に要する経費なども建物費と認められます。

ただし、建物の取り壊しや原状回復に要する経費「だけ」を対象として、事業再構築補助金の申請を行うことはできません。その理由は、家賃が事業に必要不可欠とはいえないために補助対象経費とならないのと類似しています。

事業再構築補助金は中小企業の事業再構築を支えるという趣旨で制定されたものですから、単に建物の取り壊しや原状回復を対象経費として申請したのでは家賃と同様に「事業の再構築に資するものではない」とみなされてしまいます。

したがって取り壊しや一時移転に要する経費が、家賃などとは異なる「新たな事業を行う上で必要不可欠な経費」として扱われるためには、「事業拡大につながる事業資産への投資」を含む事業計画を以て申請する必要があるのです。

家賃に類する経費と言える一時移転の経費が、家賃とは異なって建物費として認められているわけですから、当然一時移転の経費には特別の要件が課されています。

具体的には、事業再構築補助金の補助対象経費のうち1/2を上限として、補助対象として認められるほか、「補助事業実施期間内に、工場 ・店舗 の改修や大規模な設備の入替えを完了し、貸工場 ・貸店舗等 から退去する」場合にだけ補助対象となる等の制約があります。

新築の建設は必要性を証明する必要がある

新築の建設は必要性を証明する必要がある

さらに、事業再構築補助金における「建物費」として建物の「新築」に要する経費を申請するにあたっては、建物を単に改修する際よりも特別の要件が課されています。

具体的に言えば、建物の新築に要する経費が「建物費」として認められるためには、「新築することが補助事業の実施に真に必要不可欠であること」と「新築以外の代替手段が存在しないこと」を示さなければならず、そのために申請の際に附せて「新築の必要性に関する証明書」を提出する必要があります。

まとめ

この記事では、事業再構築補助金の概要や、家賃が事業再構築補助金の補助対象経費として認められないこと、家賃以外の補助対象とならない不動産関係の経費、家賃とは異なって補助対象となる建物費の概要、建物費のうち家賃に類する経費ともいえる一時移転の経費の扱い、等の事項について解説しました。

事業再構築補助金の各経費区分のうち、建物費は要件が複雑なものとなっているため、気になる点があれば一度専門家に相談することをおススメします。

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