【2025.12】飲食店は新事業進出補助金に申請できる?どんな事業に活用できるか解説

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※記事は作成時の公募要領をもとに作成しているため最新の情報と異なることがございます

新事業進出補助金は、中小企業等が既存事業とは異なる新規事業に挑戦し、新市場・高付加価値事業への進出を支援する補助金です。事業規模の拡大や付加価値向上を通じた生産性向上、そして賃上げにつなげることを目的としています。

そんな新事業進出補助金の活用を検討している飲食店事業者も多くいると思いますが、「具体的にどんな事業に新事業進出補助金を使えるのだろう」とお悩みではありませんか?

この記事では、新事業進出補助金の概要を説明するとともに、飲食店での具体的な活用の方向性を実際の活用事例も合わせて紹介していきます。

この記事を読むと
  • 新事業進出補助金とは何かがわかる
  • 飲食店が新事業進出補助金を活用して行う新規事業のアイデアを得ることができる
  • 飲食店が新事業進出補助金に採択されるためのポイントがわかる

監修者

松山市の税理士 越智聖税理士事務所代表。株式会社聖会計代表取締役社長。税理士。 経済産業省認定経営革新等支援機関
越智聖税理士事務所は平成27年4月に松山で開業した、主に中四国全域の中小企業の皆様をご支援している会計事務所である。会計・税務はもちろんのこと、お客様のお悩み事を解決する総合的なコンサルティング、緻密な経営診断にもとづく経営コンサルティングなどを得意としている。前職において関与先の上場支援、多くの業種の税務経営支援、相続税、事業承継対策に従事し、12年の実務経験を経て独立開業。現在、職員6名の体制でお客様を支援。
事業再構築補助金の書類確認など多岐にわたる業務に対応ができる。圧倒的な実績を持つ認定経営革新等支援機関として多くの事業者を支援。愛媛県内で事業再構築補助金の採択率が税理士、会計士、中小企業診断士などの中で5位になる。四国税理士会松山支部所属。
高齢化社会の要請である介護事業経営支援にも取り組み、新規事業立ち上げから財務体質改善、集客アドバイスなど、さまざまなサービスを提供。また、様々な業種に対応し、建設業、飲食業、不動産業、社会福祉法人、酪農業、さらには漫画家、芸能関係などの珍しい業種にも対応している。仕事のほとんどがお客様や他士業の先生からの紹介となっている。現状では80%が紹介で、それ以外は直接の依頼や、ネットでの集客である。税理士業務以外の仕事(保険、法人設立、建設業許可など)は、提携している専門家の方に積極的に依頼し、お客様へのサポート体制の拡充を図っている。顧問先が黒字になるように、出来上がった試算表を基に徹底的に分析して改善すべき点を指摘。また、多くの業種を取り扱っていて、周りの業界のヒアリング調査も実施。これにより、一般的には7割が赤字企業といわれるなか、当事務所の顧問先の黒字率は6割を超える。
【他媒体での監修事例】
UPSIDERお役立ち記事にて記事監修

この記事の目次

新事業進出補助金について

新事業進出補助金は、中小企業等が既存事業と異なる事業への前向きな挑戦を支援し、新市場・高付加価値事業への進出を後押しする補助金です。企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的としています。

第2回公募の応募期間は令和7年9月12日(金)から令和7年12月19日(金)18:00までとなっています。

新事業進出補助金について

対象となる事業者

新事業進出補助金は、中小企業、中堅企業を対象とした補助金で、個人事業主も申請することができます。

中小企業者の条件

業種ごとに資本金または常勤従業員数が一定の基準以下である必要があります。

業種資本金常勤従業員数
製造業・建設業・運輸業3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業
(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く)
5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下

その他、企業組合等の法人、非営利法人、農事組合法人、労働者協同組合なども一定の条件下で対象となります。

また、特定事業者として資本金10億円未満で一定の常勤従業員数以下の会社や、生活衛生同業組合などの組合も対象となる場合があります。

補助対象事業の必須要件

新事業進出補助金に申請するためには、以下の全ての必須要件を満たす必要があります。

新事業進出要件

新事業進出指針に示す「新事業進出」の定義に該当する事業であることが必要です。具体的には以下の3つの要件を満たす必要があります。

新事業売上高要件: 事業計画期間最終年度において、新たに製造等する製品等の売上高が応募申請時の総売上高の10%以上、または総付加価値額の15%以上を占めることが見込まれること。なお、直近の売上高が10億円以上で新事業進出を行う事業部門の売上高が3億円以上の場合は、当該事業部門の売上高の10%以上または付加価値額の15%以上という別の基準も適用可能です。

製品等の新規性要件: 事業により製造等する製品等が、事業を行う中小企業等にとって新規性を有するものであること。単に既存製品の製造量を増やしたり、過去に製造していた製品を再製造する場合は該当しません。

市場の新規性要件: 事業により製造等する製品等の属する市場が、事業を行う中小企業等にとって新たな市場であること。新たな市場とは、既存事業において対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする市場を指します。既存製品と対象市場が同一である場合や、単なるメニューの追加と考えられる場合は該当しません。

例として、飲食店が新規事業としてテイクアウト・デリバリーやキッチンカーによる販売を行う場合、単なる提供方法の変更だけでは市場の新規性要件を満たさない可能性があります。新たな顧客層(例:法人向けケータリング、高齢者向け宅配食など)をターゲットとすることで、要件を満たすことができます。

付加価値額要件

補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額(または従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定することが必要です。付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。

賃上げ要件

補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、以下のいずれかの水準以上の賃上げを行うことが必要です。この要件を達成できなかった場合、補助金の返還義務が生じます。

  1. 一人当たり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上増加させること
  2. 給与支給総額の年平均成長率を2.5%以上増加させること

交付申請時までに全ての従業員または従業員代表者に対して賃上げ目標値を表明することが必要で、事業計画期間最終年度において一人当たり給与支給総額目標値または給与支給総額目標値のいずれかを達成することが求められます。

事業場内最賃水準要件

補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業場内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であることが必要です。この要件を達成できなかった場合も、補助金の返還義務が生じます。

ワークライフバランス要件

次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、「両立支援のひろば」に公表していることが必要です。応募申請時までに、申請締切日時点で有効な一般事業主行動計画を公表してください。

金融機関要件

補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受け、「金融機関による確認書」を提出することが必要です。自己資金のみで実施する場合は不要です。

新事業進出補助金で受け取れる金額

新事業進出補助金で受け取れる金額は、補助対象経費に補助率を掛けた金額となります。補助上限金額は以下のように決められています。

従業員数補助率通常の補助上限額賃上げ特例時の補助上限額
20人以下1/2750万円 ~ 2,500万円~ 3,000万円
21~50人1/2750万円 ~ 4,000万円~ 5,000万円
51~100人1/2750万円 ~ 5,500万円~ 7,000万円
101人以上1/2750万円 ~ 7,000万円~ 9,000万円


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飲食店の新事業進出補助金を活用した新規事業の方向性

飲食店は、既存事業を活かした上でどのような新規事業を始めれば良いのでしょうか。以下では考えられる方向性の例をいくつか紹介します。

飲食店の新事業進出補助金を活用した新規事業の方向性

冷凍食品の製造・販売をする事業

飲食店が冷凍食品を開発して、自動販売機やECサイトで販売するという事業です。

新事業進出補助金の対象経費としては、急速冷凍機の購入費、自動販売機の購入費、ECサイトの構築費などが想定されます。

この事業は、店舗で提供している料理を冷凍食品化することで、地理的制約を超えた新たな顧客層(遠方の個人客、法人向けギフト市場など)にアプローチできるため、市場の新規性要件を満たしやすいと考えられます。

採択事例

事業計画名:食の体験型施設と冷凍カレー事業の展開
事業計画名:幼児の栄養と保育現場を支える冷凍食「にこみーる」提供事業
事業計画名:地域食材と食育を届ける冷凍クラフトピザD2Cサブスク事業
事業計画名:宮崎の味を再興!飲食経営を生かした冷凍うどんの製造販売事業
事業計画名:お米屋の挑戦!冷凍おにぎり・おこわの製造・販売事業への進出

引用:新事業進出補助金 採択結果

キッチンカーによる販売をする事業

飲食店がキッチンカーで料理を販売するという事業です。

新事業進出補助金の対象経費としては、キッチンカーの架装費などが想定されます。ただし、車両本体の購入費用は補助対象経費とならない点に注意が必要です。

キッチンカー事業で新事業進出要件を満たすためには、単なる販売場所の移動ではなく、イベント会場での法人向けケータリング、オフィス街でのランチ販売など、既存店舗とは異なる顧客層・市場をターゲットとすることが重要です。

採択事例

事業計画名:実践スクールによるキッチンカー起業・地域フード創出事業

引用:新事業進出補助金 採択結果

テイクアウト専門店を出店する事業

飲食店がテイクアウト専門店を出店する事業です。

新事業進出補助金の対象経費としては、テナントの改修費、厨房機器の購入費、広告宣伝費(ビラやチラシの作成費)などが想定されます。

テイクアウト専門店で新事業進出要件を満たすためには、既存店舗とは明確に異なる顧客層(例:通勤途中のビジネスパーソン向け、ファミリー層向けなど)や商品コンセプトを設定することが重要です。

既存とは異なる飲食店を出店する事業

飲食店が既存の料理とは異なる料理を提供する飲食店を出店する事例です。

新事業進出補助金の対象経費としては、テナントの改修費、厨房機器の購入費、広告宣伝費(ビラやチラシの作成費)などが想定されます。

このパターンでよくあるのが、居酒屋など夜間の酒類の提供がメインだった店が焼肉店に転換する事例です。業態転換により、ランチタイムの顧客やファミリー層など、新たな顧客層を獲得することができます。

採択事例

事業計画名:自社栽培そば活用の農家直営飲食店開業事業
事業計画名:マニア化した食を、午前と午後に業態を変え提供する飲食店の展開
事業計画名:調理離れと健康志向に対応・魚のプロが提供する飲食店
事業計画名:観光スポットでの観光体験宿泊施設付き飲食店事業計画

引用:新事業進出補助金 採択結果

飲食店が新事業進出補助金に採択されるためのポイント

飲食店が新事業進出補助金に採択されるためのポイントを紹介します。

飲食店が新事業進出補助金に採択されるためのポイント

加点項目を積極的に取得する

新事業進出補助金では加点項目を取得することで採択率を上げることができます。以下のような加点項目があります。

パートナーシップ構築宣言加点

「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにおいて宣言を公表している事業者は加点されます。

くるみん加点

次世代法に基づく認定(トライくるみん、くるみん、プラチナくるみんのいずれか)を受けた事業者は加点されます。

えるぼし加点

女性活躍推進法に基づく認定(えるぼし1~3段階またはプラチナえるぼし)を受けている事業者は加点されます。

その他の加点項目

アトツギ甲子園出場、健康経営優良法人2025認定、技術情報管理認証制度の認証取得、成長加速化マッチングサービス登録、再生事業者、特定事業者なども加点対象となります。

これらの加点項目は応募締切日時点で満たしている必要がありますので、早めの準備が重要です。

新市場性・高付加価値性を明確にする

新事業進出補助金の審査では、「新規事業の新市場性・高付加価値性」が重要な審査項目となっています。

審査では以下の2点のいずれかが評価されます。

  1. 新市場性: 補助事業で取り組む新規事業により製造等する新製品等のジャンル・分野の、社会における一般的な普及度や認知度が低いものであること。客観的なデータ・統計等で裏付けることが重要です。
  2. 高付加価値性: 同一のジャンル・分野の中で、当該新製品等が高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであること。

飲食店の場合、単なるテイクアウトやデリバリーでは新市場性が認められにくくなっています。例えば、高齢者向けの栄養管理された宅配食サービス、法人向けの健康志向ケータリング、特定のアレルギー対応食品など、既存市場とは明確に異なる市場をターゲットとすることが重要です。

既存事業とのシナジー効果を考える

新事業進出補助金で重要な審査項目の一つに既存事業とのシナジー効果があります。飲食店の既存事業の強みを活用して、新規事業でどのように差別化を図ることができるかを考えるようにしましょう。

例えば、飲食店が宿泊業に進出する際も料理の提供を組み合わせるなど、既存事業を活用した差別化を図ることで、競合他社と比較して明確な優位性を確立することができます。また、既存の仕入れルートや調理ノウハウを活用することで、事業の実現可能性も高まります。

高い付加価値額・賃上げ目標を設定する

審査では、付加価値額要件及び賃上げ要件において、基準値を上回る高い目標値が設定されている場合、その高さの度合いと実現可能性を考慮して評価されます。

ただし、単に高い目標値を設定するだけでなく、その実現可能性を事業計画書で具体的に説明することが重要です。市場分析、競合分析、具体的な販売計画などに基づいて、目標達成の道筋を明確に示しましょう。

事業の実現可能性を高める

審査項目の「事業の実現可能性」では、以下の点が評価されます。

  1. 事業化に向けて、中長期での補助事業の課題を検証できているか。事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か。
  2. 最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。
  3. 事業経費や補助対象経費が真に事業目的の達成のために必要な額か。
  4. 補助事業を適切に遂行し得る体制(人材、事務処理能力等)を確保出来ているか。

特に飲食店の場合、調理スタッフの確保、設備の稼働計画、販売チャネルの確保など、具体的な実行体制を示すことが重要です。

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まとめ

この記事では飲食店が新事業進出補助金を活用する方法や、採択されるためのポイントを解説してきました。

新事業進出補助金は、中小企業等が新市場・高付加価値事業への進出を通じて企業規模の拡大や付加価値向上を図り、賃上げにつなげることを支援する補助金です。飲食店においても、冷凍食品の製造・販売、キッチンカー事業、テイクアウト専門店、業態転換、宿泊業への展開など、様々な活用の可能性があります。

ただし、単なる提供方法の変更や既存事業の延長線上の取り組みでは採択されにくく、新たな市場や顧客層へのアプローチ、高付加価値化など、明確な新規性が求められます。また、付加価値額要件、賃上げ要件、事業場内最賃水準要件、ワークライフバランス要件など、複数の必須要件を満たす必要があり、要件未達の場合は補助金返還義務が生じる点にも注意が必要です。

今回紹介したような活用事例や、採択されるためのポイントを参考にしながら新事業進出補助金の活用を検討してみてくださいね。

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