【2024.2】ものづくり補助金の賃上げ誓約書とは?賃上げ要件についても解説!

ものづくり補助金 賃上げ誓約書-1

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※記事は作成時の公募要領をもとに作成しているため最新の情報と異なることがございます

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)を申請する際には、賃上げ誓約書を記載して添付する必要がありました。しかし最新の公募では、賃上げ誓約書関係の手続きは簡略化されています。

本記事では、16次公募時点でのものづくり補助金の賃上げ誓約書や、賃上げ要件について徹底解説します。

この記事を読むと
  • 賃上げとは何かが分かる
  • ものづくり補助金における賃上げの要件が分かる
  • 基本要件に関する注意点が分かる
この記事の目次

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金とは、インボイス制度や働き方改革、被用者保険の適用拡大などの制度変更への対応を控える、中小企業や小規模事業者を対象にした補助金です。今後行われる制度変更に対応するために行う革新的サービス開発、試作品開発、生産プロセスによって、生産性を向上させる目的で実施する設備投資の経費を補助します。
2023年11月現在では17次公募が予定されており、2024年以降もものづくり補助金は継続することが予想されます。

ものづくり補助金は、比較的資金に余裕がない小さな事業者でも申請しやすいのがメリットです。また、返済不要の資金調達手段としても活用できます。
ただし、ものづくり補助金が交付されるのは、補助事業遂行後の確定検査(補助事業の最終確認のこと)に合格してからになります。申請から交付まで1年以上のスパンがある後払い方式なので注意しましょう。申請時には、賃上げ誓約書による賃上げの表明や、詳細な経費の内訳2社以上の見積などが必要になります。

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金の対象事業者

ものづくり補助金の対象事業者は、中小企業等経営強化法第2条第1項に規程されたものです。具体的には、資本金または常勤従業員数が一定以下の数字になる会社または個人です。業種ごとの資本金と常勤従業員数の基準を見ていきましょう。

ものづくり補助金の対象事業者

ものづくり補助金 16次公募要領を基に筆者が作成

「中小企業者」「特定事業者の一部」「特定非営利活動法人」「社会福祉法人」には上記表とは異なる基準が設けられています。また、みなし大企業は対象外になる、申請時に虚偽の内容を故意に提出すると次回以降の公募の申請ができない、などのルールが定められています。詳細は公募要領をご覧ください。
ものづくり補助金の詳しい対象者や対象事業はこちら

ものづくり補助金ではいくら貰える?

ものづくり補助金は、「申請した経費の金額×補助率」で交付金額が決まります。例えば経費600万円で申請して補助率が2/3だと、交付金額は400万円です。
補助上限額は、申請するものづくり補助金の枠によって変わります。ものづくり補助金の枠ごとの補助金額上限は次の通りです。

補助金額(従業員数別)補助率
通常枠・5人以下:100万円~750万円・6~20人以下:100万円~1,000万円・21人以上:100万円~1,250万円・1/2・小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は2/3
回復型賃上げ雇用拡大枠・5人以下:100万円~750万円・6~20人以下:100万円~1,000万円・21人以上:100万円~1,250万円2/3
デジタル枠・5人以下:100万円~750万円・6~20人以下:100万円~1,000万円・21人以上:100万円~1,250万円2/3
グリーン枠(エントリー類型)・5人以下:100万円~750万円・6~20人以下:100万円~1,000万円・21人以上:100万円~1,250万円2/3
グリーン枠(スタンダード類型)・5人以下:750万円~1,000万円・6~20人以下:1,000万円~1,500万円・21人以上:1,250万円~2,000万円
グリーン枠(アドバンス類型)・5人以下:1,000万円~2,000万円・6~20人以下:1,500万円~3,000万円・21人以上:2,000万円~4,000万円
グローバル市場開拓枠100万円~3,000万円・1/2・小規模企業者・小規模事業者は2/3

また、「大幅賃上げにかかる補助上限額引上の特例」を適用すれば、従業員数に応じて補助金上限額を引上げられます。

従業員数各申請枠の補助上限額の引上げ額
5人以下最大100万円引上げ
6~20人以下最大250万円引上げ
21人以上最大1,000万円引上げ

ただし、回復型賃上げ・雇用拡大枠の申請事業者、各申請枠の補助金額の上限額に達しない場合、再生事業者、常勤従業員0人の場合は、当該特例は適用できません。
ものづくり補助金の各申請枠ごとのもらえる補助金額について詳しい内容はこちら

申請する枠に応じて貰える補助金

前述の通り、ものづくり補助金は申請する枠によって貰える補助金の上限額が変わります。各枠の概要は次の通りです。

各申請枠の名称概要
通常枠革新的な製品・サービス開発などを行う事業者を支援する、もっともスタンダードな枠
回復型賃上げ雇用拡大枠厳しい業況ながら賃上げや雇用拡大を行う事業者が申請できる枠
デジタル枠DX(デジタルトランスフォーメーション)を見越した革新的な製品・サービスの開発などを行う事業者が申請できる枠
グリーン枠(エントリー類型)温室効果ガスの排出削減に役立つ取り組みに応じて、温室効果ガスの排出削減に資する事業を行う事業者が申請できる枠
グリーン枠(スタンダード類型)エントリー類型の条件に加え、業界全体への貢献や自社での再生可能エネルギー発電導入などを行っている事業者が申請できる枠
グリーン枠(アドバンス類型)グリーン枠の中でも、よりエネルギーや環境に関する深い取り組みを行う事業者が申請できる枠
グローバル市場開拓枠海外事業の拡大・強化等を目的とした事業を行う事業者が申請できる枠

ものづくり補助金の申請要件

ものづくり補助金に申請するには、「基本要件」を満たした事業計画書を策定する必要があります。通常枠の申請条件となる、事業計画期間3~5年の間に達成すべき基本要件は次の通りです。

ものづくり補助金の基本申請要件

  • 給与支給総額を年率1.5%以上増加(被用者保険の適用拡大の対象となる企業が先に取り組む場合は年率1%以上増加)
  • 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円の水準へ引上げ(毎年)
  • 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加

このように、基本要件をクリアするには賃上げを含む生産性向上や従業員の給与引上げを行います。補助事業完了後の年度で各増加目標が達成できなかったときは、ものづくり補助金のすべてまたは一部を返還しなければなりません。
また、通常枠以外の枠に申請するときは、基本要件に加えて「枠ごとの追加要件」も満たす必要があります。
例えば16次公募時点だと、回復型賃上げ・雇用拡大枠の場合は、「補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での給与支給総額の増加率が1.5%、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上の水準の増加目標を達成すること」などが追加されます。
また、大幅賃上げにかかる補助上限額引上の特例を適用するときは、通常枠よりも高い給与支給総額の平均年率・事業場内最低賃金を達成しなければなりません。詳細は公募要領をチェックしてください。

申請方法・スケジュール

ものづくり補助金の申請は、「Gビズプライムアカウント」を取得して専用の電子申請システムから行います。郵送や窓口での申請は受け付けていません。電子申請が終わったら、事務局が提出した事業計画書の内容を審査し、採択の有無を決定します。
採択を受けた後は、提出した事業計画書通りに補助事業を遂行します。補助事業が終わったら実績報告・確定検査にて交付金額を確定させ、ものづくり補助金が振り込まれるというスケジュールです。補助金の交付を受けた後も、5年間にわたっての計6回の報告作業が必要です。
ものづくり補助金のGビズID取得はこちら

ものづくり補助金の賃上げ要件

ものづくり補助金へ申請するには、従業員の賃上げに関する要件をクリアする必要があります。ものづくり補助金の賃上げ要件について、詳細を見ていきましょう。

ものづくり補助金の賃上げ要件

給与支給総額に関する要件

給与支給総額とは、従業員や役員への労働に対する支払いのことです。具体的には次の経費を合計したものを意味します。

  • 給料・賃金・賞与
  • 残業手当・休日出勤手当・職務手当・地域手当・家族手当・住宅手当などの各種手当

一方で、退職手当といった給与所得に含まれない支払いや福利厚生費は、給与支給総額には含まれません。また、以下に挙げた人件費も給与支給総額からは除外します。

  • 売上原価に含まれる労務費
  • 一般管理費に含まれる役員給与、従業員給与・賞与および賞与引当金繰入額など
  • 派遣労働者、短時間労働者の給与を外注費で処理した場合のその費用

ものづくり補助金の基本要件の中には、給与総支給額を年率1.5%以上上げることがあります。
例えば従業員10人で1人あたりの年収が400万円、役員1人で役員報酬が500万円、従業員賞与が500万円だとすると、給与支給総額は「(400万円×10人)+500万円+500万円=5,000万円」となります。この5,000万円を基準として毎年1.5%増加させる場合、5年間だと次の通りです。

1年後2年後3年後4年後5年後
給与支給総額5,075万円5,150万円5,225万円5,300万円5,375万円
伸び率1.5%3%4.5%6%7.5%

事業所内最低賃金に関する要件

ものづくり補助金における事業場内最低賃金とは、補助事業実施場所で働く従業員の中で、もっとも低い時給額(月給の場合は時給換算した金額)のことです。次に地域別最低賃金とは、補助事業実施場所が属する都道府県に適用される最低賃金を意味します。
厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧
ものづくり補助金の賃上げ要件の1つに、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上にして維持するというものがあります。例えば兵庫県だと1,001円なので、事業計画期間中は毎年1,031円以上の時給を達成しなければなりません。
なお、事業場内最低賃金および給与支給総額を基本要件より高い水準である「賃上げ加点等」まで引上げる計画だと、事業計画書の採択時に加点を貰えます。

賃上げの期限

賃上げの期限は、ものづくり補助金申請時に設定した補助事業計画の期間内です。5年で設定したときは、5年間目標を達成し続ける必要があります。未達だとものづくり補助金のすべてまたは一部返還になるので注意しましょう。

ものづくり補助金の基本要件に関する注意点

基本要件を満たしていないには要注意です。もし基本要件を満たしていない場合は、補助金の返還が求められる可能性があります。それは、先述した基本要件それぞれに関して返還すべき金額は異なってきますのでそれぞれ解説していきます。

給与総支給額の年1.5%以上の増加が達成できなかった場合

給与総支給額の年1.5%以上の増加ができなかった場合の返還額は、16次公募要領には以下のように記載されています。

・補助事業を完了した事業年度の翌年度以降、事業計画終了時点において、給与支給総額の年率
平均1.5%以上増加目標が達成できていない場合は、導入した設備等の簿価又は時価のいず
れか低い方の額のうち補助金額に対応する分(残存簿価等×補助金額/実際の購入金額)の返
還を求めます。

参考元:第16次公募要領

しかし、想定よりも売り上げが伸びない場合は、給与総支給額の増加が困難とされるため、

給与支給総額の年率増加率平均が「付加価値額の年率増加率平均÷2」を越えている場合や、天災などのような事業者の責任ではないと判断される場合は、返還を要求されません。

事業場内最低賃金の増加目標が達成できなかった場合

事業年度の補助事業完了後、毎年の事業計画期間中、具体的には3月末時点において、事業場内の最低賃金の引き上げ目標が未達成の場合、補助金の一部を返還しなければなりません。ただし、年間の付加価値額増加率が平均で1.5%に達しない場合や、天災など事業者に非がない理由がある場合には、上記の補助金一部返還の要請は免れます。

賃上げ誓約書の添付は不要!

賃上げ誓約書とは、ものづくり補助金の賃上げ要件における約束を記載する書類です。申請時点での直近月の事業場内最低賃金および直近決算における給与支給総額を明記し、これらを基本要件以上に引上げることを表明します。

ものづくり補助金の賃上げ誓約書について

第14次公募から簡略化

ものづくり補助金の第14次公募より、賃上げ誓約書の手続きが簡略化され、書類を準備して添付する必要がなくなりました電子申請システムへ、必要事項を入力するのみで完了です。賃上げ誓約書への押印作業も不要です。

一部は他の入力内容から自動で反映

電子申請システム上の賃上げ誓約書に記載する賃上げ内容については、他の入力内容から自動反映されるようになっています。ただし、申請直近月の事業場内最低賃金の入力は必要になるので、事前に計算しておきましょう。

まとめ

ものづくり補助金の基本要件には、給与支給総額や事業場内最低賃金の引上げといった、賃上げ要件が定められています。事業計画策定時には、必ず賃上げ要件を満たす内容を組み込みましょう。
賃上げ要件については、賃上げ誓約書を準備して添付する必要がありました。しかし14次公募以降は、電子申請システムでの入力のみで対応できます。簡略化されているとはいえ、電子申請前には内容に誤りがないかしっかりとチェックしておいてください。

ほかにもものづくり補助金についての記事ありますのでチェックしてみてくださいね。

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