【2024.10】事業再構築補助金の申請のための必須要件について徹底解説!自社は当てはまるのか確認しよう
事業再構築補助金に申請するには、必須要件に当てはまらなくてはいけません。では、どのような必須要件が設けられているのでしょうか?
本記事を読むことで、自社が事業再構築補助金の要件に当てはまるのか判断することが出来ます。事業再構築補助金の公式サイトだと少し難しい表現で記載されていて戸惑ってしまう、という方にもわかりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
事業再構築補助金とは
要件について解説する前に、まずは事業再構築補助金の概要を説明します。
事業再構築補助金とは、コロナ禍で経営が難しくなってしまった中小企業、中堅企業(個人事業主も含む)がウィズコロナ、ポストコロナに対応した新規事業を始める時に必要なお金を支援してくれる補助金制度です。大企業は対象ではありません。
事業再構築補助金を活用するには、まずは申請し、その後事務局から採択される必要があります。不採択になると補助金を受け取ることができません。毎回約6割の事業者が不採択になっています。
多額の補助金を受け取れる制度なので、人気があります。枠や類型によって受け取れる金額や必須要件が変わるので注意しましょう。
事業再構築補助金の全枠共通必須要件について
事業再構築補助金には、申請者が満たすべき要件というものがあります。どの枠に申請する場合でも必須となる条件は全枠共通必須要件と呼ばれ、全部で3つあります。以下ではそれぞれの内容について詳しく確認していきましょう。
事業再構築補助金の全枠共通必須要件について
①事業再構築要件
事業再構築補助金の全枠共通必須要件の1つ目は、事業再構築の定義に関する要件です。具体的には以下のように要件が設定されています。
事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
引用:事業再構築補助金 必須申請要件
事業再構築補助金を活用する新規事業は、事業再構築の定義に当てはまるものではないといけない、という要件です。では、事業再構築の定義とはどのように定められているのでしょうか。
事業再構築の定義は以下の表の6つに分けられています。
上記で挙げられている6つのうち、考えている事業がどれかに当てはまればこの要件は満たしていると言えるでしょう。
事業再構築要件については後ほど詳しく解説しますが、以下の記事でも説明しています。それぞれの類型を確認し、要件の満たし方等ぜひ参考にしてみてください。
②事業計画に関する要件
次は、事業計画を指定の機関と協力して作成し、確認を受けているかどうかに関する要件です。具体的には以下のように書かれています。
事業計画を金融機関等や認定経営革新等支援機関と策定し、確認を受けていること
引用:事業再構築補助金 必須申請要件
事業再構築補助金に申請する際に必要となる事業計画書は、金融機関もしくは認定経営革新等支援機関とともに作成し、確認を受けたものでなくてはいけません。認定経営確認等支援機関については、こちらから確認してみてください。
認定経営革新等支援機関
しかし、補助事業を開始する際に金融機関から資金提供を受ける場合もあるでしょう。事業再構築補助金を受け取ることができるのは、補助事業が完了し、実績報告が済んだ後です。つまり、事業をいざ開始しようという時はまだ補助金を受け取れていない状態です。そのため、手元にまとまった資金がない状態の場合は金融機関のつなぎ融資などを利用することもあるでしょう。
その場合、資金提供元の金融機関等に事業計画書の確認をしてもらう必要があります。もし融資を受ける場合は、この点も注意しておきましょう。
③付加価値額に関する要件
3つ目の要件は、付加価値額に関する要件です。
付加価値額を向上させること
引用:事業再構築補助金 必須申請要件
付加価値額とは、事業者が補助事業を始めたことにより生み出した価値を数値化したものです。
付加価値額 = 収入総額 – 費用総額 + 人件費
上記の式で計算することができます。
この付加価値額について、どのくらい向上すれば良いのでしょうか。具体的には以下のように定められています。
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3.0~5.0%(事業類型により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率3.0~5.0%(事業類型により異なる)以上増加させること。
引用:事業再構築補助金 必須申請要件
検討している新規事業を行うことにより、上記のように大きく付加価値額を向上させることができる見込みがあるなら、この要件は満たしていると言えるでしょう。
事業再構築の定義とは
先述した事業再構築要件の中にあった事業再構築の定義について解説します。事業再構築の定義は6つあり、補助金に申請するには6つのうちどれかを満たしている事業を行わなくてはなりません。
①新市場進出
はじめに新市場進出について説明していきます。新市場進出は今まで提供していなかった新たな商品やサービスを提供することで、新たな市場に進出することです。
中小企業庁は、新市場進出の定義を以下のように定めています。
中小企業等が主たる業種(※1)又は主たる事業(※2)を変更することなく、新たな製品等を製造等することにより、新たな市場に進出すること
※1 直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業
※2 直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく中分類、小分類又は細分類の産業
引用:事業再構築指針の手引き
新市場進出とは、例えば航空部品を作っていた会社が医療機器部品を作ることにした場合が要件に該当します。他には、デイサービス事業を行っていた会社が病院向けの給食事業を開始した場合も要件に該当します。
新市場進出は、製造業やサービス業など既存の事業を変更せずに新しい製品やサービスを提供する場合に満たすことができます。
②事業転換
次に紹介するのは事業転換です。定義は以下の通りです。
中小企業等が新たな製品等を製造等することにより、主たる業種(※1)を変更することなく、主たる事業(※2)を変更すること
※1 直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業
※2 直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく中分類、小分類又は細分類の産業
引用:事業再構築指針の手引き
事業転換は新市場進出と少し似ているのですが、新しい製品やサービスが売上構成比の最も高い事業となる見込みである点で要件が異なります。先ほどの例でいえば、航空部品を作っていた会社が医療機器部品を作って売ったら、航空部品よりも売れるようになった場合が要件に該当します。
新市場進出と事業転換の違いは少ないですが、売れ行きがどうなるかで新市場進出か事業転換かが分かれるでしょう。
③業種転換
次は業種転換についてです。業種転換の定義はこう定められています。
中小企業等が新たな製品を製造することにより、主たる業種(※1)を変更すること
※1 直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業
引用:事業再構築指針の手引き
主たる業種とは、自社が行う最も売上のある業種のことを言います。
業種は日本標準産業分類という総務省が出している分類に従って要件に該当するか判断します。例えば、農業、建設業、運輸業、小売業などに分類されています。
つまり、業種転換とは、文字通り業種を変えることです。例えば、航空部品を作っていた会社がデイサービス業に変更する場合が要件に該当します。新市場進出と業種転換との違いは、主たる業種を変えるか変えないかの違いです。
④事業再編
事業再編の定義は以下のように定められています。
会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を補助事業開始後に行い、新たな事業形態のもとに、新市場進出、事業転換又は業種転換のいずれかを行うこと
引用:事業再構築指針の手引き
すなわち事業再編とは、会社法に言う組織再編行為をして、先述した新分野進出、事業転換、業種転換のどれかを行うことです。ポイントは、会社を切り売りしたり株式を売却したりして新しい事業を行う点にあります。
⑤国内回帰
国内回帰の定義は以下の通りです。
中小企業等が海外で製造等する製品について、その製造方法が先進性を有する国内生産拠点を整
備すること
※「国内回帰」では、海外の生産拠点を閉じることまで要件として求めておりません。
引用:事業再構築指針の手引き
国内回帰は、現時点で海外で製造している製品を国内で製造できるように生産拠点を整備する事業のことを指します。補助事業による製品の製造方法が先進性を有する場合に該当します。
⑥地域サプライチェーン維持・強靱化
地域サプライチェーン維持・強靱化の定義は以下の通りです。
中小企業等が地域のサプライチェーンにおいて必要不可欠であり、その供給に不足が生じ、又は、生ずるおそれのある製品について、その製造方法が先進性を有する国内生産拠点を整備すること
引用:事業再構築指針の手引き
地域サプライチェーン維持・強靱化は国内回帰と少し似ていますが、地域のサプライチェーンにおいて必要不可欠な製品の国内生産拠点を整備するという点で異なります。
どの事業再構築要件が活用できるかはプロと相談するのがおすすめ
事業再構築の定義は複雑で、どれが自社の事業に該当するのか、活用できるのかを判断するのは少し難しい可能性があります。
経営者の方が上記の定義を全て読み解き、事業再構築の定義に合うように経営計画を立てるのは時間もかかるでしょう。事業再構築補助金に申請するのに時間をかけてしまい、本業がおろそかになるようでは元も子もありません。
時間を削減し賢く事業再構築補助金を活用するためには、専門家への相談を検討するとよいでしょう。事業再構築補助金申請の経験豊富なプロのコンサルタントを利用することで、どの事業再構築の定義に該当し、どのように事業再構築補助金を申請すればいいかをハッキリさせることが可能です。
申請枠ごとに個別の要件も設定されている
上記で紹介した必須申請要件のほかに、申請枠ごとに個別の要件が指定されています。
例として、第12回公募で設定されていた枠、類型ごとの要件は以下の通りです。
申請枠、類型 | 必須要件 |
成長分野進出枠(通常類型) | 【市場拡大要件を満たして申請する場合】 必須要件(Cについては、付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加を求める。)に加え、以下の要件をいずれも満たすこと ①事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させること ②取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること 【市場縮小要件を満たして申請する場合】 必須要件(Cについては、付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加を求める。)に加え、以下の要件のいずかを満たすこと ①過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態とは別の業種・業態の新規事業を実施すること ②地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域に属しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること |
成長分野進出枠(GX進出類型) | 必須要件(Cについては、付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加を求める。)に加え、以下の要件をいずれも満たすこと ①事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させること ②取り組む事業が、グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当すること |
コロナ回復加速化枠(通常類型) | 必須要件(Cについては、付加価値額の年平均成長率3.0%以上増加を求める。)に加え、以下の要件のいずれかを満たすこと ①コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていること ②再生事業者(Ⅰ.中小企業活性化協議会等において再生計画を策定中の者又はⅡ.中小企業活性化協議会等において再生計画を策定済かつ再生計画成立後3年以内の者)であること |
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) | 必須要件(Cについては、付加価値額の年平均成長率3.0%以上増加を求める。)に加え、以下の要件を満たすこと ①コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていること(任意) ②2022年10月から2023年9月までの間で、3か月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員の10%以上いること |
サプライチェーン強靱化枠 | 必須要件(Aについては「国内回帰」または「地域サプライチェーン維持・強靱化」に限る。Cについては付加価値額の年平均成長率5.0%以上増加を求める。)に加え、以下の要件をいずれも満たすこと ①取引先から国内での生産(増産)要請があること(事業完了後、具体的な商談が進む予定があるもの) ②取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること ③下記の要件をいずれも満たしていること (1)経済産業省が公開するDX推進指標を活用し、自己診断を実施し、結果を独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出していること。 (2)IPAが実施する「SECURITY ACTION」の「★★ 二つ星」の宣言を行っていること。 ④下記の要件をいずれも満たしていること (1)交付決定時点で、設備投資する事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高いこと。ただし、新規立地の場合は、当該新事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高くなる雇用計画を示すこと。 (2)事業終了後、事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間に給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させる取組であること ⑤「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにて、宣言を公表していること。 |
それぞれしっかり確認し、自社が当てはまる枠や類型で申請しましょう。
また、申請枠や類型については公募回の度に変更が入る可能性があります。自分が申請したい回の最新情報を必ず確認するようにしましょう。
株式会社補助金プラスの申請支援について
株式会社補助金プラスでは、事業再構築補助金の申請支援を行っています。これまでに多くの事業者様を採択に導いた専門家が、経験を活かして採択に向けた支援を行います。事業計画書の作成や書類収集のサポート等多方面からの支援が可能です。
本記事で紹介した要件に当てはまるかどうか、当てはまるようにするにはどうすれば良いか等のご相談も受け付けております。初回無料相談もあるので、ぜひお気軽にご連絡ください。
これまでに支援した事業者様の採択率は90%!対面ではなくオンライン対応なので、全国各地どこにお住まいの方でも支援を受けられます。
これから事業再構築補助金に申請したいと考えている方は、ぜひご相談ください!
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・採択率の分析
・交付申請の方法
・事前着手の方法
・個人事業主の申請方法
・事業計画書の作成方法
まとめ
この記事では、事業再構築補助金を申請するために必要な要件について解説してきました。
事業再構築補助金を活用することで初期費用を大幅に押さえて新規事業を始めることが可能です。今回紹介した要件に当てはまるか確認して、要件を満たせるようであれば、ぜひ申請を検討してみてくださいね。